第4話 プラン、ドゥ、アクションッ!!!
『さて、そうと決まれば話は早いですわ! まずは聖女抹殺計画を……いえ、どうせなら異世界の知識をフル活用して、国家転覆計画の方がいいのではなくて? それがいいですわ! 私を追放した報いをたっぷりと味合わせてやりますわ~ッ!』
とんでもないことを口走るお嬢様に颯太は止めようかと考えたが、そもそも彼女には復讐するだけの権利がある。
身体を乗っ取っただけの颯太が口出しする権利もなく、彼は引き攣った笑みを浮かべてエレオノーラの計画に耳を傾けていた。
『そう言えば貴方の記憶にあったのですが、乙女ゲーの世界に異世界転生ですか? もしかすると、この世界も該当するかもしれませんね』
「(え、そうなの?)」
『ええ。先程も教えましたが私の婚約者である王太子殿下を横取りした泥棒猫に色々とやりましたが、まるで未来を読んでいるかのように悉く避けられましたの』
「(ほう。確かに俺の住んでいた世界の乙女ゲーを知っているなら、それくらいは出来るだろうな)」
『でしょう? ならば、向こうも異世界の知識というアドバンテージを持っているはず。道理で勝てないはずです……しかし、今はこちらも同じ! これならば同じ土俵で勝負できますわ!』
彼女に復讐をしないという選択肢は存在しないのだろう。メラメラと目を燃やし、やる気に満ち溢れている。
暑苦しい雰囲気ではあるが別に嫌いではない。とりあえず、今後の方針は決まったのだから、次は何をするかだ。
『復讐するという事は決まりましたが、まずは下地作りからですわね』
「(具体的にはどうするんだ?)」
『ひとまずは資金調達。それから人脈。そして、最後に後ろ盾の確保ですわね』
「(ふむふむ。働くにしても、俺の所為でいきなり躓いているけど……)」
『その点については問題ありませんわ。貴方の知識と私の天才的頭脳さえあれば資金など簡単に集まりましてよ! オーホッホッホッホッホ!!!』
絶対の自信があるのだろう。エレオノーラは仰け反るくらい高笑いをしていた。
「(俺の知識を使うのはいいけど、使えそうな知識とかあるのか?)」
『貴方、料理をしていらしたのでしょう? それを活用すればいいだけです』
「(でも、材料を買うお金がないぞ?)」
『フッフッフ。その点についても問題ありませんわ。この世界には魔物がいますの。それを討伐して生計を立てる冒険者という職業があるのですわ!』
「(おお! つまり、冒険者になってお金を稼ぐんだな!)」
『そうですわ! 勿論、私の力と貴方の知識があれば冒険者としても大成することも出来ましょう! しかし、それでは物足りませんわ! あの阿婆擦れに一泡吹かせるには強烈な一撃が必要でしてよ! それこそ、国家転覆するような特大の一撃が!』
力強く拳を突き上げるエレオノーラ。彼女の脳内では一体何が起こっているのだろうかと気になる颯太だが、恐らく想像を絶する光景だろうと苦笑いであった。
「(で、その冒険者になるにはやっぱりギルドとか?)」
『ええ、当然ですわ。しかし、一つ問題がありますの……』
先程までハイテンションで声にも張りがあったのに、突然トーンダウンしたエレオノーラ。
その様子が信じられない颯太はゴクリと喉を鳴らし、不安な気持ちを抱いた。
自信満々、威風堂々としていた彼女がここまで気落ちするとは、一体何事であろうか。
『私、聖女を抹殺しようとした悪女として有名人ですから、冒険者ギルドに登録が出来ないかもしれませんの……』
「(な、なんだって……! それは一大事じゃないのか?)」
『その通りです。はっきり言って窮地に立たされていますわ!』
「(ど、どうするんだ? 資金を集めなきゃいけないのに……)」
『まあ、その辺はどうとでもなりますわ! だって、私、天才ですもの!』
「(それはさっき聞いた。具体的にはどうやってギルドに登録するんだ?)」
『貴方の知識から得た漫画やアニメの技を使いますわ。私、スペックは世界最高峰でしてよ』
「(どういうこっちゃ?)」
スペックは世界最高峰と言われても、いまいち理解できない颯太はエレオノーラに聞き返した。
『軽く説明いたしますと、この世界には魔法があるのですが私、全属性の魔法が使えますの』
「(おお~。それだけでも凄いんだけど……属性がいくつあるか知らないから分からない)」
『この世界には、火、水、風、土の四属性が存在します。そして、聖女はこのどれにも属さない光属性を扱えますの』
「(へ~。あれ? でも、さっき雷に重力とか使ってなかった?)」
颯太は先程、暴漢に襲われたときのことを思い出した。あの時、颯太はエレオノーラの声に従って詠唱を唱えて魔法を発動したのだが、その際に使った属性は雷と重力といった彼女の説明にはない属性だ。
『フフフフフ、私のスペックが世界最高峰だと言ったのをお忘れでしょうか? なんと、私、貴方の知識からアニメや漫画の魔法を再現出来る様になりましたのよ!』
「(な、なんだってーーーッッッ!!!)」
本日、二度目のなんだってだが、その衝撃は一度目よりも凄まじい。なにせ、エレオノーラの言葉が正しいなら、彼女は正真正銘の
「(で、でも、それで光属性とかは使えないんじゃ?)」
『そう思うでしょう。ですが、実は使えるのですわ。勿論、まだ使ったことが無いのでなんとも言えませんが、確かに使えるのだと私は確信していますの』
「(ひえ~~~。ちなみに、他の属性だとどんなのがあるの?)」
『幻影属性、闇属性、雷属性、氷属性、音属性、時空属性、無属性といった所ですわね』
「(想像を遥かに上回るビックリ属性のオンパレードじゃねえか!?)」
もう彼女だけでもいいだろう。颯太は必要ない。とんでもない能力を得たのだから、全てエレオノーラだけで片付いてしまうのだから。
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