第121話 0011 ナポレオン・ソロ

 私が小中学生の頃、午後三時台から海外ドラマを放送していました。

 『宇宙大作戦スタートレック』とか『巨人の惑星』とか。

 深夜帯が『スパイ大作戦』とか『スペース1999』とか『謎の円盤UFO』。

 この中じゃ、『スペース1999』が制作年代が新しかったか?

 『スパイ大作戦』と『スペース1999』には同じ俳優さんたち(当時はご夫婦だったらしい)が出演していて驚いたものですが。

 


 しかし、その中で忘れ難い作品が『0011 ナポレオン・ソロ』。

 リメイク映画化の『コードネーム U.N.C.L.E.』は観ていないので、ドラマ版について語ります。


 確か、『007』シリーズ原作者のイアン・フレミング氏が関わっていた筈です。

 主人公はスパイ組織『U.N.C.L.E.』所属の、ナポレオン・ソロ。

 相棒は、ロシア(この時代はソ連?)から亡命したイリヤ・クリヤキン。


 いわゆる『バディもの』で、ダンディで女性好きなソロと、金髪イリヤのコンビに目が釘付けになりました。

 基本は二人とも黒スーツで、すごくスタイリッシュに見えたものです。

 彼らが持つ万年筆型の通信機に憧れ、ボールペンを握って真似をしました。

 通信する時の台詞「オープンチャンネル何とか」もカッコ良かった!


 タイトルバックに『U.N.C.L.E.』の正式名称の長ったらしい英語表記が出るのですが、必死で覚えようともしました。

 ソロが、組織のことを略称通りに「おじさん」と呼んだ場面もあります。


 ソロたちの支部の、ウェイバリー局長を演じていた俳優さんも良かった!

 ソロとイリヤの父親的な感じで、飄々とした雰囲気が忘れられません。

 ヒッチコック監督の『北北西に進路をとれ』でも、スパイ組織のリーダーを演じていて「あれれ」と思ったものです。

 レオ・G・キャロルさんと云う方で、ヒッチコック監督のお気に入りの俳優さんだったそうです。

 


 ところで……後に、即売会で同人誌(非BL)を発見して即買い。

 拝読して驚いたことは、「英語版ではイリヤが冷酷な感じ」と書かれていたこと。

 イリヤを吹き替えた野沢那智さんの軽妙な演技のせいか、イリヤもコミカルキャラだと思っていました。

 原語だと、そうでは無かったようです。

 ソロの吹き替えの矢島正明さんとの声の対比も、素晴らしかった。


 私が観ていた時は『アンクル進学教室』とか云う回で打ち切り?でした。

 当時は、なぜ変な終わり方をしたのか不思議でした。

 最終回を見逃したのかと思ったほどです。

 今なら、調べると色々解りますが。



 そして、今も覚えているエピソードを二つ上げて置きます。

 何話かは不明です。


 まず、ソロとイリヤともう一人(その回のゲストキャラ?)が敵に捕まります。

 三人とも一人掛けの椅子に縛り付けられ、ソロの右手だけは椅子のひじ掛けに固定。

 手の先には、ボタンが二つ。

 敵がクイズを出題し、ソロがボタンのどちらか(YES・NOボタン)を時間内に押し、間違えたらアウトでドカーン。

 

 数問は正解するものの、最後に迷った挙句に間違え……と云う展開。

 間違えたところまでは覚えていますが、その後どうやって助かったかは失念。

 出された問題を議論する場面が面白かった!

 まさに吹き替えパワー全開でした。



 もう一つは別の回で、『U.N.C.L.E.』の局長クラスの十名ほどの男性陣が円卓会議をしています。

 そこに、敵が侵入。

 機関銃で脅された一行は外に出され、吊り橋?のような所に整列させられます。

 その一行に向けられる機関銃。

 当然、ソロたちが助けに入り、上半身を屈めて逃げる局長たち。

 全員、助かりました。


 この会議にはウェイバリ―局長も参加していたのですが、整列させられて機関銃を向けられた時の表情が忘れられません。

 憎悪や無念とは違う、「ここで終わりなのか」と言いたげな表情。

 この方を、ヒッチコック監督がお気に入りだった理由が解ります。

 他の局長たちも無抵抗で、スパイの非情さを子供心に植え付けられました。



 さて、リメイク版『コードネーム U.N.C.L.E.』ですが……

 検索したら、『ソロイリ』なるワードが。

 やはりそうなのか、そうですよねー。


 でも『0011 ナポレオン・ソロ』は、私の『バディもの』の聖域。

 小学生の頃に観たワクワクした感は、今も息づいております。

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