第51話 コロナ発症の備忘録(2)

 9月22日(木)。

 朝の午前6時頃に目が覚めました。

 体がだるくて、あまり眠れず。

 体温は38.2度。

 これは確実にコロナ感染と思われます。

 父も濃厚接触者に当たるので、本日から出勤停止となります。

 当然、私は自室に隔離。

 今までは仏間に寝ていましたが、久し振りの自室復帰です。


 とりあえずは食パンを焼き、蜂蜜入りの紅茶を飲みます。

 味覚はあるのですが、喉がイガイガします。

 また解熱剤を飲み、午前9時ちょうどに病院に連絡。

 病院側の協議の末、検査をして頂けることになりました。

 病院は、徒歩で5分かかりません。


 病院に到着したら、救急用玄関の前で電話して待っていて下さいとのこと。

 ひとり横通りを通って病院に向かうと、横の玄関に葬儀社のワゴンが停まっていました。

 ご遺族と思われる方々もいらっしゃいます。


 2年前の5月、祖父も同じように搬出されました。

 祖父はこの先月に肺炎で搬送されましたが、大病院にコロナ検査に回されました。  けれど「コロナの可能性があるが、断定できない」とのことで、再びこの病院に戻され、ICUで肺炎の治療を受けていました。

 当時はワクチンも無く、コロナ判定も曖昧だったのでしょう。

 私と父も二週間の出勤停止です。

 祖父に面会できたのは、1日20分。

 死期を覚悟していた私たちは、祖父の新しい浴衣を求め、それを着て祖父は旅立ちました。

 あの頃に比べたら、コロナの対処療法は進歩したと思っていたのですが……



 そして病院の救急外乱専用玄関から入り、隔離中の診察室で検査を受けました。

 20分ほど待っていると私の主治医の先生(院長)がドアから顔を出しました。

「看護師から結果を聞いた?」

「いえ、まだです」

「……陽性でした」

「……はい」

「もうちょっと待っててね」


 ――院長先生は退室しました。

 まあ、想定内でしたので驚きはしませんでしたが……溜息は止まらず。


 さらに10分ほどしてから看護師さんが現れ、リーフレットと薬の入った袋を差し出します。

 リーフレットにはQRコードが印刷されており、健康観察記録『マイハーシス』に登録が必要とのこと。

 保健所への連絡は病院がするらしく、後は保健所の指示を待つようです。

 薬は「カロナール」と「胃腸薬」の二種。

 喉が不調なのですが、その治療薬は出せないようです(診察をしていないから)。

 

 前ページで書いた『検査を受けても、ある意味どうにもならなかったと知るのは、翌日の検査後です』の意味がコレ。

 つまり喉の痛みは、市販の風邪薬で対処するしか無いのです!

 これは厳しい……。


 保健所からの連絡と言われても、翌日23日からは三連休です。

 帰途に付きつつも、頭の中はゴチャゴチャわっさわさ。

 まずは会社に連絡し、家で寝ているしかありません。

 リーフレットには「急激な体調悪化は救急車を呼ぶように」と記されていますが、不安です。

 テレビの特集での、コロナ病棟の光景を思い出します。


 参考までに、私の検査数値ですが――

 『SARS―COV2抗原定量 H5000.0』

 基準値が『0.00―0.87』です。

 私の検査結果が、陽性の一般的な数値化は不明です。


 ちなみに――ファイザー社のワクチンを、この病院で二回摂取しています。

 三回目は……その時期に、この病院でクラスターが発生。

 それは1ヶ月以上続き、私と母は三回目の摂取をする機会がありませんでした。

 共に持病持ちですので、他社のワクチンは打たなかったのです。

 父は職域摂取で三回とも打っていました。


 そのせいか――後に、私の母も感染することになる訳です。

 なお、この数日後からコロナ発症届け出の方法が変更になっております。

 私は、まさに変更直前の発症でした。



 ――続く。

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