第43話 『呪い』は成就するか?

 今回は、ちょっと怖い小話です。

 母の伯父は霊能関係の相談を受け付けていた人ですが、これは母から聞いた実話。


 昔、伯父が存命の頃に、ある女性が相談に来ました。

 その内容は「怒りに任せて呪った相手二人が入院した。恐い」。


 その女性は、相手を呪った(牛の刻参りとか)訳では無く、喧嘩をして罵倒したらしいのですが……共に数日後に、ひとりは虫垂炎、ひとりは脳梗塞で入院。

 ただし、一人目と二人目の間は、十年近く開いているとのこと。

 入院した二人は親類の方で、命に別状は無かったそうです。

 

 霊感の強い女性だったそうですが、伯父が女性にどう回答したかは不明。

 ひょっとしたら、喧嘩の後に入院したのは只の偶然だったのかも知れない。

 けれど、女性はひどく気にしていたそうです。


『源氏物語』では、源氏の君の正妻の葵の上に嫉妬した六条御息所が、生霊となって葵の上を殺したという逸話があります。

 六条御息所本人は殺す気など無いのですが、彼女の体から彷徨い出た生霊は手を下してしまう……。

 

 そのような話が現実にあるとしたら……

 その気が無いのに、相手を害してしまうとしたら?

 知らず知らず誰かに呪われていて、それが自分の不運に関係しているとしたら?


 けれど、他人を全く疎まず疎まれずに生きるのは困難です。

 平安の世から千年余りを経ても、人の悩める心は変わるまじ。

 私たちの心にも、六条御息所が住んでいるのかも知れません。




 ――おまけの一言。

 これを書いていて別ウィンドウを開いたら、『退屈な映画ベスト20』と言うのが表示されました。

 

 その中に『ツリー・オブ・ライフ(テレンス・マリック監督)』が含まれていましたが、前にテレビ放送されたのを観たら、すごく面白かったんですけど……。

 

 いや、退屈だと感じたのは分かるよ!

 高校生の頃に観たら「なにコレ?」だったと思います。

 しかし、人生のある程度の『酸いと甘い』を味わった身なら、この映画の良さが解かる……と思いたい。


『2001年宇宙の旅』も、最初に観た時は木星突入あたりでチャンネル変えたし。

 今は、最初から最後まで感嘆しながら観れます!

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