第33話 怖い夢を見て、うなされる

 昨夜のこと。

 怖い夢を見ました。

 けれど、覚えているのは最後の部分だけ。


 街を回っていて居酒屋に入ったところ、店内がボートのオールで埋まっています。

 転んでオールの中に埋もれ、もがいていると、少し離れた所にいる男がオールを構えて私を攻撃してきます。

 私もオールを構えますが、うまく動かせません。

 唸っていると、母に起こされました。


「すごい唸ってるけど、どうしたの!?」


 ――窓の外は明るく、トイレに起きた母が私の唸り声に気付いて、起こしに来てくれたのでした。

 うーん……確かに怖い夢かも知れないけれど、唸るほどなのか……。

 

 時計を見ると、まだ一時間は寝れそうなので二度寝すると、久し振りに金縛りに合いました。

 きっと疲れてるだけだよ、たぶん……。



 

 夢と言えば、たまーに見る夢はね「東京に住んでいた頃の夢」。

 いつも、住んでいたアパートが出てきます。

 ただし、周辺の光景が……テレビ番組で観る焼け野原っぽい感じ。

 時には、アパートが骨組みだけになっていたり、ドアが半壊していたり。

 アパートが壊れていない時は、普通に帰宅すると、そこらを野良猫が歩いていたりします。

 

 考えたら、あの専門学校時代が一番自由だったかな~。

 大人になる少し前の年齢で、無意識に「あの頃に戻りたい」と渇望しているのかも知れません。

 まあ、少し前に見てハッピーだった夢は、昔飼っていたチワワのチロちゃんを、家の浴槽で泳がせている夢でした。

 いつか、あの夢の中に入れたら……と思っちゃいます。

 それは逃避かも知れません。

 けれど――夢の中には、失ってしまったものが在るのですから。

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