第12話 私の右腕に、テディベアのような……何か

 東京に住んでた頃の、アパートで起きた怪現象を二つほど書きます。



 住み始めて半年、母が遊びに来ました。

 池袋を案内し、水族館に行き……そんなこんなで、夜。

 一組しかない布団を敷いて、二人一緒に寝ました。


 電灯は豆球だけを点けておき……そして深夜すぎ。

 私の「ウンウン」と言う唸り声で目を覚ました母が見たモノは……

 水平に伸ばした私の右腕に乗っている『黒っぽい何か』!

 黒い縫いぐるみのようなモノが乗っていて、モゴモゴ動いていたそうです。


 母は……どうして良いか分からず(起こしてよ)、そのまま寝てしまったとか。

 まあ、霊感の強い母が怖くなかったのだから、悪いモノではないのでしょう。



 ちなみに、先日。

 昼寝していた私が唸っていたので、母は起こしてくれました。

 私は夢を見ていて、家の前でストームトルーパー(スター・ウォーズの敵兵士)に腕を引っ張られている夢でした……。




 話を戻して――アパートでの怪現象、その弐。

 ある日、寝ていて目を覚ますと!

 私の頭上を、人の足が跨いで立っていました!

 ヤバイ人が侵入したのかと思いつつ、目を凝らすと上半身が見えねー!

 見えるのは、白っぽいズボンを履いた下半身だけ!


 また幽霊かー!と思いつつ目を閉じ、しばし後に開けると……人の足は消えていました。

 起き上がって、照明を点けてみると……誰も居ません。

 ドアの鍵も掛かっています。

 怖いので、ドアと布団回りに塩を撒いてから寝ました。




 そしてそして、また別の日。

 夜にテレビを観ていると――背後に、何かが落ちた気配が!

 ポスターでも剥がれたのかと思って振り向くと……


 ギャーーーーーーー!


 歯ブラシの半分ぐらいのサイズの真っ黒い虫が居ます!

 信じらんねえ!

 超デカッ!

 不気味!

 でも、何か弱ってる!

 動きがノロい!


 大急ぎで部屋の隅に置いてた殺虫剤を取り、噴霧し、ティッシュペーパーを二十枚ぐらい重ね、捕獲しました!

 

 ティッシュペーパー百枚を重ねても触りたくない敵でしたが、他に誰も居ないから止むを得ず……。

 

 上半身の見えない幽霊よりも、よほど怖かった……と云うお話でした。

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