第11話 「頭を打ったら命に関わりますよ」と言われた件

 小学五年生の春。

 私は覚えていないのですが、体に何らかの異常があったらしいです。

 母に連れられて病院で検査を受けた後の、お医者様の一言。


「頭を打たないように注意してください。命に関わるかも知れません」



 うーん……。

 母も病名は覚えてないそうですが、血液系の病気だったそうです。

 たぶん……少しの間、学校を休んでいたようです。

 登校を再開した後、何度か担任の宇野先生から放課後に補習を受けました。

 先生の奥様が作ってくれたおにぎりを食べた記憶があります。

 すごく優しい先生でした。

 


 体育の授業は、半年以上休んでいました。

 体育が超苦手だったので、嬉しかったですれどね。

 





 話は飛び――東京・池袋で独り暮らしをしていた時期がありました。

 アパートは狭い路地が入り組んだ場所の二階。


 ある日の夜――午後の八時を過ぎた頃だったでしょうか。

 サイレンの音が聞こえてきました。


「まさか火事?」と思いつつ、窓を開けると――本当に火事です!

 斜め前の区画、百メートルほど先の建物から火が上がってます!

 煙モクモク!

 窓とカーテンを閉めていたとはいえ、こんな近くで燃えてて気づかねえ!

 呑気すぎ!



 パーカーを羽織って慌てて外に出ると(出て、どうなる?)、車一台通れるだけの狭い路地には、近隣住民が溢れています。

 

 燃えているのはアパートらしく、近くから「燃えてるのオレんですよ…」と言う声が聞こえます……。


 サイレンの音が激しくなります。

 私は路地の曲がり角に立っていて、ヒョッと一歩を踏み出すと――右側の道から、いきなり消防車が現れました。

 曲がり角は民家の高いブロック塀がГ字型に建っていて、右から来る消防車に気付かなかったようです!

 狭い道です。

 曲がって来た消防車のサイドミラーが、私の顔の真正面にあります!

 接触します!


 私はサッと首を右下に曲げ、サイドミラーをヒョイと除け、冷静に路地を右に曲がって難を逃れました。

 運動神経ゼロでも、体は反応してくれました!

 頭を打たずに済みました!


 

 ――が、今から思うと、非常にヤバイ状況でした。

 よく接触しなかったモンだと思います。

 消防の人も驚いたでしょう。

 

 火事の時は狭い道で見物してはイケナイ、ということを痛感しました。

 消火活動の邪魔になりますし、非常に危険です。

 

 しかし、その翌年の日中にも近所でボヤがあり、またもや外に飛び出した私がいました。

 懲りねえな……。

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