第3話 寝ると心霊現象が体験できるベッド(実話)

 執筆している小説「悪霊まみれの彼女」と続編「黄泉月の物語」に登場する主人公の母親と伯父の霊感コンビは、私の母と伯父(故人)がモデルです。

 そして上野くんの飼い犬のチワワのチロも、我が家で飼っていたワンコがモデル。


 で、今回は私と母が体験した心霊現象のお話です。

 私が高校生の頃、従姉妹も札幌に住んでいましたが、大学卒業を機に東京に引っ越すことになりました。

 その際、使わなくなったセミダブルベッドを譲り受け、リビング横の洋間に置くことになりました。


 このベッドが、とんでもないクセ物だった訳です。

 家族は、このベッドを昼寝用に使っていたのですが……

 私や母が寝ると、どうも金縛りに合うことが多いのですよ。

 それでもたいして気にせず(気にしろ)、懲りずに(懲りろ)使い続けました。


 が、ある日のこと。

 私は、チロを抱っこして寝ていました。

 その時は右腕を下にして、左腕を横に伸ばしてウトウトしていたのですが……

 何と、左手を何者かに、下から、掴まれました!

 その感触にバッと目を開け、しかし――家には、私とチロしか居ません!

 うええええええ~、と思いましたが……そのまま、また寝入りました(起きろ)。



 そして別の日の話。

 今度は、母が昼寝中に目を覚ますと、キッチンの方から赤い着物姿のおかっぱ髪の幼女が、トットットッと母の方に駆けて来たそうな。

 座敷わらし風ですが、母には幼い頃に亡くなった姉がいるので「ひょっとしたら」と思ったそうです。

 幼女は、目の前で消えたそうです。


 また別の日。

 チロが事故で亡くなり(経緯は、小説で書いたまんま)、お見送りして一週間ほど後のこと。

 またもベッドで昼寝をしていた母がふと目を開けると、キッチンの方から駆け寄って来るチロを見たそうな。

「エサをあげなきゃ」と思って顔を上げた時に、あっと思ったそうです。

 チロちゃんは死んだんだ――と。


 

 母が体験した、この二例はイイんてせすよ。

 私が手を掴まれたのは、ヤバかったてすけど。

 母が真に怯えたのは、この後。


 またも母が午前中にベッドで寝ていて――目を覚ますと!

 洋間のドアを開け放った向こう――ベッドからは、リビングに置いたキャビネットが見えるのです。

 そのキャビネットの後ろに、帽子&作業服姿の男性の肩から上が見えます!

 キャビネットの高さは、1メートルちょいほど。

 その後ろに、男性の肩から上が見えているのです。


 母は、水道局の人が侵入したかと思ったそうですが、しかしキャビネットの後ろはすぐ壁です!

 人が立てる隙間なんて無い!

 男性の身長も変!

 しかも、男性は母を睨んでいます!

 明らかに生者では無い!

 震え上がった母は、毛布を被り、ひたすら時が過ぎるのを待ったそうです。

 そして、男性はいつしか消えていました――。


 


 ……後の引っ越しで、そのベッドは粗大ゴミに出しました。

 キャビネットは今も使っていて、これを書いてる私の横に在ります。

 別に何の現象も起きてないので、ベッドに良からぬモノが憑いてたのか、家の場所が悪かったかの、どちらかでしょう。


 まあ、着物幼女とチロ(の霊?)は怖くなかったそうですが。


 こうした霊体験は、公開予定の小説『黄泉比良荘の璃々子』に生かされるかな…。

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