第2話 ブタさんの指人形

 幼稚園児の頃だったと思う。


 雪の上に落ちていた指人形を拾った。

 サーモンピンクに塗られたブタさんの指人形で、表情は『ゾウのサトちゃん』に似ていた。

 

 硬めのゴム素材で、足元の部分に数ミリの切れ込みが入ってた。

 なぜかすごく気に入って、いつも持って遊んでいたように思う。


 

 とても大切にしていたのに、小学校低学年の頃に失くした。

 私が異常に大切にしていたのを、今は亡き祖母が心配していたらしい。

 だから――祖母に言われた家族の誰かが捨ててしまったのかも知れない。


 失くしてから数年経っても、どこかに仕舞い忘れたのではないかと、オモチャ箱の片隅を探していた。


 そして今も、あの指人形の姿は忘れられない。

 ブタさんグッズを見つけると、似た物がないかと探してしまう。

 

 しかし、短い前足をカーブさせ、チョコンと足先が描かれた直立したブタさん指人形に似た物は見つけられない。

 

 あの日に見つけた物の、失くした物の代わりは、無い。

 

 

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