第71話 住みたくない家
「確かにシェアハウスでいいよね、とは言ったよ。
でもさ、シェアして貰ってるわりには彼ら、態度でかいんじゃないか?」
「そうだよな、普通はうんと遠慮してさ、居候 三杯目には そっと出し って言うじゃんか、遠慮するよなぁ」
「バカだなぁ、それ言うか。でもその句、よく知ってたな」
「こっちのもどうだい。居候 四角い部屋を 丸く掃き って、な」
「ったく。そういうことじゃないけどよ、ま、居候ならそれぐらいの気づかいはしてもらいたいもんだよな」
「えへへ、わざと呆けてみたけどよ、居候でもシェアハウスの仲間でもなく、招かれざる客でもなく・・やっぱ、一言でいえば邪魔者だよ」
「とに角、これってさ、何と言ってもここんチの居心地が、良過ぎるのが原因なんじゃないか?」
「何とか考えて、住みたくない家にしなきゃぁいけないよね。彼らにはお願いだから出て行ってくれって拝んだって、何にも聞いちゃぁくれないし、聞く耳なんか持ってやしないんだもんねぇ」
「そもそも彼らに耳なんてあるんだろうか、って言いたいよな」
「そりゃぁ、あるに決まってんだろ。だって俺達の足音なんかすぐ分かるみたいだし」
「でもさ、聞こえるんならせめて、私達正統派住人の前に突然出て来たり、ウロウロうろついてビックリさせたり、邪魔しちゃうようなことはしないでほしいわね」
「自分たちの居場所がない訳じゃぁないんだから、そこで静かにしていていればいいんだよ。なにも俺達の前に姿を見せさえしなければ、最低限の妥協案として我慢もしてやるっていうのに」
「夜だってそうよね。静かに我慢していて、ま、今日は言うこと聞いて大人しくしてくれてるなって思っていたら、明かりが点いた途端にうろつきまわっているのがバレバレなんだものね」
「何でそうなんだろう。せめて皆が外出して誰も居なくなってから、好きなだけ歩き回りゃぁいいじゃないか、なぁ」
「ウチはグルメじゃないから高価な食材はないけど、食べたい物だってふんだんにあるし。だから図々しく好き勝手に歩き回って、好きな時に好きなだけ食べるんだよ」
「そりゃぁ出しっぱなしにしておく私達の、だらしない所がいけないのも分かるけど、当ったり前のように勝手に食べようとする、その根性が癪に障るわよねぇ」
「彼らにこんな家にはすみたくない、出て行ってやるって言わせるには、先ずはこのだらしなさから改善しなきゃぁいけないんだね」
「あと油汚れの台所や、ごちゃごちゃと物が散乱しているのもいけないか。何てったって俺達が怒ると、すぐに物陰に隠れるの上手いもんな彼らは」
「ヨシ、決めたっ!シェアハウスはもうここらで止めにしよう。我慢の限界だ!」
「今度こそみんな揃って出て行ってもらおう。今までは手ぬるかったよな俺達。
前の家を越す時に、彼らみんなを置いてけぼりに出来なかったのが悪かったんだ」
「あの時、積極的に煙に巻いて叩き出し、捻り潰して掃き捨てて、俺達だけでこっそり越せばよかったのに。何だかんだって忙しかったから仕方なかったけどな」
「今度という今度は、住みたくない家にする作戦に、みんな協力してよ」
「と言っても、叩き出すのもめんどくさいんだよな、これが」
「何とかヤツらに簡単に死んでもらうことできないかな」
「いやぁしぶといからな、これがまた。毒饅頭くらいじゃ死にゃぁしないぜ。置いといたからって他に食べるものいっぱいあるし」
「そうだよ、この間もこの部屋は食糧付きで快適なんだから、ホイホイ入って行きなよな、って特別な箱部屋まで買ってやったんだよ。なのにぜんぜん効きゃぁしないさ。」
「あ、アレはどうかな。部屋のあちこちにシュッとひと吹きってヤツ」
「そんなのやったけど、屁の突っ張りにもならんです」
「キン肉マンか、おい」
「ああ・・あ」「ダメだこりゃ」「お手上げだ」
「ヤツらよ、静かに眠れ!」「大殺戮を決行せよ」「お前はすでに死んでいる、アチョー」
「そして誰もいなくなった、って、ならないよねぇぇ・・」
台風は来るのか来ないのか。外ははっきりしない天気が続いている。徒然なるままに、いと頭可笑しげなる老婆が独り言ちす。なんちゃって気取ってはみたものの、ローバよ、このエッセイもどきで何が言いたいのかと尋ねられれば、その返答がいとバカバカし。カクヨムで皆様がちょっと怖い話というものを書いておられるのを、ローバもやろうと試みてみただけのこと。しかし恐ろしい話にはなれなくいと悲し。
しか~し、実は実話で実際に(ややこしい)毎日自由気ままに我が家を走り回るゴキブリのことと分かれば・・キャァーでしょ、きっと。ねっ、ちょっと怖い話となりぬれろ? エヘヘ。
慣れとは凄いものでもうすっかり恐いことなどはなく、世界最強の敵と勇敢に?立ち向かっている戦死、否、戦士ローバの話である。しかしこう強がってはいるものの、これはチャバネGのことであって、おぞましいクロGとなれば話は違う。今は住んでいないが、もしその姿を目にしたならば、この薄汚い老婆の酷く不気味な叫び声が、恐怖の館に響き渡ること間違いない。その時には堂々と、ちょっと怖い話の仲間入りとなれるだろうか。
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