第72話 祝勝会

 色々あった対抗戦が終わった。


 サイモンとの戦闘後、スタジアムに戻ってからは大変だった。


 ミーアには泣かれるし、テトラには小言言われるし、オリヴィアには圧迫死させられそうになった。


 まあオリヴィアの胸の中で死ねる満足だ。


 大きい胸堪能しました、ありがとうございます。


 最近、ちょっと巨乳に惹かれつつある。


 そういえば、今回の事件の犯人はエミリー先生だったらしい。


 かなりショックだった。


 良い先生だと思っていたのに……。


 エミリー先生が犯人なわけがない!


 と思ったけど、状況証拠が揃っていたことから犯人で間違いないらしい。


 よくよく考えてみたら、あの人ちょっと怪しいところがあったような……って、今だったらなんとでも言えるんだけどね。


 ちなみに、エミリー先生は事件後、どこかに消えてしまった。


 あと今回の犯行にサイモン先生も協力していたことから、学園の信頼が一気に落ちた。


 同時に学園長の頭が後退していた。


 元気だして、学園長。


 頭が後退しているのではない。


 学園長が前進しているのだ!


 なんだかんだあったけど、対抗戦は最後までしっかり行われた。


 そして、大会は終わり、学園側の圧勝という形で幕を閉じた。


 新人戦は俺たちが勝った。


 団体戦も学園側の勝利。


 個人戦では、オリヴィアが優勝し、ミーアが準優勝だった。


 さすがミーア!


 決勝は接戦だったが、ミーアがあと一歩及ばず、負けてしまった。


 スコアは7-5。


 あのオリヴィアから5点も取れたのは凄いと思う。


 三冠取ったオリヴィアもさすがだったな。


 まあ、どっちも凄いってことだ。


 2人の試合は見ごたえあったし、ここ数年で一番盛り上がった試合らしい。


 負けたミーアはかなり悔しそうにしてた。


「アランくんに良いところ見せたかったです」


 と言っていたから、


「大丈夫。もう十分かっこいいところ見たから」


 と返していおいた。


 そしたら少し機嫌が良くなってくれた。


 実際、ミーアの戦う姿はかっこよかったし。


 今大会は、45対4で学園側が勝つという、歴史的な大勝となった。


 あまりの大差に学院の生徒たちが帰り始めたとのことだ。


 しかし、こんな大勝利なのに、非難される選手もいた。


 ジャンだ。


 大将戦を俺と変わって出たのに負けたことで、批判にさらされていた。


 学園側の圧勝だったんだから、そんな小さいこと気にするなよ、と俺は思うのだが、納得しない人もいるらしい。


 伯爵家のジャンが文句言われるなんて、ガチの中世だったらありえない。


 さすがはゲーム世界だな。


 何はともあれ祝勝会だ!


 パーティーを楽しむぜ!


「それではMVPに選出されたアラン選手のスピーチです」


 ……なんで俺、壇上に上がってるのかな?


 魔法拡声器マイク渡されたんだけど。


 え、どういうこと?


 いや、なんで俺がMVP?


 俺よりもよっぽど他の人のほうが結果残したでしょ。


 オリヴィアとかミーアとか、シャーロットとか。


 てか俺、実はスピート苦手なんだよね。


 やらされるにしても、せめてもっと前から言って欲しかった。


 祝勝会始まる直前に「じゃあスピーチお願いね」とシャーロットに言われた。


 お願いされても困るんだけど。


 てか、こういうときってどんなスピーチすればいいの?


 私は戦争が好きだ!


 ……さすがにこれはないな。


 狂人だと思われそう。


 じゃあれか?


 我々は一人の英雄を失った!


 あ、これもダメだ。


 三倍の速度で動く赤い人に「坊やだからさ」と言われそう。


 会社員時代に慣らした一分スピーチでも披露しよう。


 見とけよ、ハゲ学園長。


 俺が本物のスピーチってやつを見せてやるよ。


 壇上から会場を見渡す。


「……」


 みんな真剣な顔で俺を見てくる。


 もっと談笑とかしちゃってもいいんだよ?


 そんな大した話するつもりもないし。


 なんなら馬鹿騒ぎしちゃっていいと思う。


 てか、パーティーなんだからもっと笑ってよ。


 しゃーない。


 俺がみんなを笑わせてあげよう。


「みなさん。対抗戦お疲れ様です。え~、こういう場に立つことを想定していなかったので、正直スピーチの内容は考えていません。それよりもお肉のことばかり考えていました。あ、ちなみに僕のお腹、昔はお肉を掴めたんですよね。あははっ」


「……………………」


 あ、これはマジであかんやつだ。


 完全に滑ったわ。


 穴があったら入りたい。


 もう帰ってもいいですか?

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