第1話『新入部員』

「はいちゅうもーく、

なんと我が『機械化装甲射撃偵察帰宅部』に新入部員が来まーす」

部室棟校庭に立つ薄汚れたガレージ(彼女たちの部室だ)

に足を踏み入れるなり、"部長"はそう宣言した。

「へー、この時期に?」

「射撃部から移動してくるんだってさ」

「あー、なんか揉めたらしいねー」

口々に談笑する部員たちに、どうということもないふうに部長は言った。

「来るのはその先輩連中ぶちのめした本人でーす」

「狂犬じゃん」

かすかな当惑が広がる中、部長は入口の方へ声をかけた。

「それじゃあ新入り、入ってきな」

「聞かれてんじゃん」

一変した部室の雰囲気を意に介さず、入り口から現れたのは

銀髪に青い瞳の肌の白い女子生徒だった。

「エレーナ・シードロヴナ・リマンスカヤです。よろしく」

抑揚のない声で"新入り"が挨拶をする。

「あっ、前に表彰されてたの見たこと有る」

眼鏡をかけた部員が声を上げた。

「そうだ、この前の射撃大会で大活躍さ。

まぁそれが気に食わなかった先輩方と喧嘩してここに流れてきたってわけだが」

部長はそう言うとエレーナに向き直り部員を紹介した。

「新入り、この眼鏡のやつが"メガネ"、

そっちのミリタリーポンチョ着てるやつが"ストレロク"、

工具提げてるやつが"PP"、

あたしのことは"部長"でいい。

あんた含めて5人のチームだ」

部室の面々を眺めた後、新入りが口を開いた。

「…部長、質問があります」

「なんだ?新入り」

「新入生が増えた時は、私は古株になりますか?」

「古株とは言わねぇかな…」

部長は顎を撫でながら答えた。

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