第5話 魔法学園の一日
「えー、であるからして、中世のヨーロッパでは、魔女狩りが盛んになったものの、実際に狩られたのは...」
朝に魔法のテストを終え、今は三時間目の魔法史の授業だ。この世界では、魔法は当たり前のように存在しているが、それだけだ。学園でも普通に国語や数学を習っている。どうやら中学生までは簡単な魔法の実技や理論、魔法史、基本の魔物について習うらしい。高校(と言っても一応中高一貫校なので、試験はあってもそのまま高等部に上がるらしいが)になると、選択制になって詳しく薬学や、実技を習うらしい。
それに、この世界では魔法オンリーという訳ではなく、科学など、現代的な事も存在していた。もっとも、魔法と科学が相容れないのはどの話でも同じらしく、派閥を作って対立はしているみたいだが。
できれば早く元の世界に戻りたい
(はぁ...眠いなぁ...何か魔法に関する授業だと、元の世界にはいない先生とか出てきて慣れないし、先生にもよるけど、つまらないなぁ...)
ただ、眠いのは柊香だけでは無いらしい。つまらないと思っている生徒が大半らしく、柊香の他にも眠そうにしている人がいた。
(僕の隣の人に至ってはマジで寝ちゃってるし...まぁ後少しだし、頑張るか。)
「では、これで授業を終わります。気をつけ、礼。ありがとうございました。」
授業が終わり、先生が教室を出ていくや否や、教室は騒がしくなった。
「あー、やっと終わったー。」
「もう学食の時間だよ?」
「お、本当か。やったな!」
三時間目の後は学食の時間らしい。この世界では給食じゃなくて学食なんだと柊香は知った。さて、食堂に行こうか、と、席を立ったとき、
「あ、柊香ちゃん。良かったら、私と食堂行かない?」
声をかけてきたのは、元の世界での友達、
「うん。良いよ。じゃあ一緒に行こうか?」
柊香は二つ返事で頷き、柚禾と喋りながら食堂へと向かっていった。
「うわ...何これ......すっごく美味しいんだけど!」
この学園の学食は、バイキング形式で、バーなどから自由に好きなだけ料理を取っていって良いらしい。しかも、食事はどれも舌鼓を打つ程美味しい。柊香は、この食事のシステムは最高だと思った。ただ、好きなだけ取れるとは言え、バランスが良くなるように選んだ食事にはプラスでサラダなどの足りない料理をロボットが運んで来ているのだが。
「はぁ...本当に美味しい...給食でこんなに幸せになったの小学生以来だよ...」
「あはは...柊香ちゃんてば大袈裟だなぁ。」
(でも冗談抜きで美味しいなぁ...元の世界の学校の給食なんて美味しくないもんね...おかずは冷たいし、味付けも薄いし、献立がワンパターンだし。それに比べて学食なんて、下手したら普通のレストランより美味しいしなぁ...)
そんな事を考えていると、
「柊香ちゃん?どうしたの?」
柚禾に声をかけられた。柊香はハッとして、
「あ、ううん。大丈夫だよ。」
「あ、なら良かった。もう学食の時間も終わるし、戻ろうか。」
「うん。そうだね。」
そして、柊香と柚禾は行きと同じように喋りながら教室へと戻っていった。
(そう言えば、柚禾の
喋っている中、ふと疑問に思ったので確かめてみる。ステータスを見るのは気が引けるが、さっき
〈
〔総合評価〕
ランク? (評価不能)
〔使える魔法〕
空間魔法 レベル?
時空魔法 レベル?
〔武器〕
属性不明の杖。
〔補足〕
導々?=園¡等* 2¿5組。
希少%法を2つ$@つ魔€¢い。£の√力は¥知数で、学園π℅究==========。
(ん?何これ?妨害かな?今までこんな事無かったのにな...にしても、ランクもレベルも分からないなんて...)
柊香がおかしいなと、首を捻っていると、
「っ...!?」
(な、何なの!?身動きが取れない...!?)
何かの魔法なのだろうか。突然、動けなくなった柊香は、どうしようかと、頑張って頭を働かせる。
(ど、どうしたら良いんだろう...あ、光魔法で状態異常を解けば...!レベルも高かったし...いけるかも!)
(《解浄》)
柊香は光魔法を使ってどうにかしようと試みる。が、
(くっ...何で...魔法が効かない...!?)
柊香は、繰り返し魔法を使ってどうにかしようとするが、効果は無かった。と、
(!?)
突然、何か覇気の様なものを感じた。その刹那、ドン、と鈍い音を立てて何かが突き立てられた。目線は動かせるので音がした方へ目を向けると、そこには杖が立っていた。その杖は、先端に歯車の様な装飾がついていて、なんだろう、時計を彷彿とさせるデザインだ。と、
「柊香ちゃん。」
声がした方を見あげると、そこには、ファンタジーっぽい衣装に身を包んだ柚禾が立っていた。
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