第1話 パラレルワールドへようこそ
翌朝一一。
「ふぁ...もう朝か...」
いつも通りの朝を迎えた
「おはよう。お姉ちゃん。」
と、妹である
「ん。おはよう。」
柊香も挨拶を返すと、椿愛に、
「ねえねえ、お姉ちゃん。」
「ん?どうした?」
「あのさ、魔法見せて?」
「...は?」
椿愛が放った言葉に柊香は耳を疑った。魔法?何を言っているんだろう。柊香は妹の頭がおかしくなったのかと椿愛の方を見る。それから助けを求める様に秋希の方を見るが、
「椿愛!起きてすぐに魔法を使わせるのは良くないって学校で習ったろ。」
秋希は非難する様に椿愛に注意している。けどそういう事ではない。魔法ってどういう事何だろう?柊香は二人に聞いてみた。
「えー?お姉ちゃん何言ってるの?魔法なんて当たり前にあるじゃん。」
「そうだよ。姉ちゃんどうしたんだよ。」
二人は当然の様に言う。柊香は戸惑いを隠せないが、辛うじて次の質問をする。
「僕って何の魔法が使えるの?」
「えぇー?自分の魔法も忘れたの?魔法はスマホで確認できるよ?」
「え?スマホ?」
柊香はまたもや耳を疑った。普通魔法が使える世界って中世ヨーロッパの世界だったりするよね?
「変な姉ちゃんだなぁ。」
「あはは...まぁとにかく、また今度見せてあげるから、とりあえず今は準備してくるよ。」
とりあえず準備と、魔法とやらの確認をしないと。柊香は急ぎ足で部屋に戻っていった。
「えっと、椿愛が言っていた魔法の確認ってこれかな?」
言いつつ確認画面を開く。そこには、次の様に表示されていた。
〈大榎木 柊香〉種族:人間
〔総合評価〕
ランクS (大魔術師)
〔使える魔法〕
水魔法 レベル5 (最大)
光魔法 レベル4
〔武器〕
水属性と光属性を宿した双剣。
〔補足〕
導々丘学園中等部 2年5組。
水魔法と光魔法を組み合わせて、多彩な魔法を使う事ができる。
と、書かれている。ランクはEからSまであるらしく、Sは最高位のようだ。...?ということは、これって凄いのか?後で確認しよう。今は学園に行かないと。
「行って来ます。」
家を出て学校へ向かう。余談だが、この世界で通う事になった導々丘学園の制服は、ワイシャツにスカート、或いはズボンという普通の組み合わせ一一かと思いきや、これにケープ付きが基本らしい。ケープの長さは自由で、基準の長さにしている者や、長くしてマントにしている者もいる。スカートの長さも余程短くない限り大丈夫らしい。スカートの形も、フレアスカートやバルーンスカートなど、種類があるようだ。色は、暗めの色で、黒や紺とあり、統一はされてないらしい。
ちなみに柊香は、青寄りの紺色に、ケープは基準の長さ。スカートはフレアスカートにしてある。と、ここで聞き慣れた声が聞こえてきた。
「おーい!柊香一!」
「あ、
「だけど、」と言おうとしたが、それは途中で遮られた。
「ねぇねぇ、今日魔法の実技テストだよ?あー、どうしよう。ほら、あたしってさ、氷魔法しか使えないじゃん?」
いや知らんがな。と、柊香は心の中でツッコミを入れる。そんな柊香の様子には気づかずに氷麗瑠は話を続けていく。
「柊香は良いよねー。ランクSで2種類も属性を持っているんだから。」
「それって凄いの?」
「凄いに決まってるじゃん!そもそも普通の人は1種類しか属性を持っていないんだよ?しかも大体の人はレベル3止まりだし。それでランクもC。良くてBが普通だよ。ランクSなんてこの学園にも10人もいないんだから。柊香は学園の中の十本の指に入っているんだから、もっと自慢して良いんだよ?むしろ自慢してくれないとなんか悔しいからやだ。」
早口でまくし立てた後、氷麗瑠は不貞腐れたようにそっぽを向いてしまった。その様子を見て、柊香はそんなに凄いのかと、実感は持ててないけど...もしかしてこれが俗に言うチート能力ってやつなのか?と思った。この能力と異世界に来てしまった事は関係があるのかな、と柊香が考えていると、
「それよりさ、魔法について何かコツとかないの?」
立ち直るのが早いのか、氷麗瑠が何事もなかったかのように質問をしてきた。その声にハッとする。
「え、コツ?そんな事聞かれても...」
この世界に来てまだ一日目なのだ。魔法の事を聞かれてもわかるはずが無い。ただ、その事を言うわけにはいかない。氷麗瑠だけじゃなく、他の人にも。きっとこれは、誰にも言ってはいけない事だから。柊香は密かに決意をした。氷麗瑠はもちろんそんな事を知る由もなく、気にせず質問をする。
「えー?そっかー。柊香なら何かあるって思ってたんだけどなー。」
「うーん、ごめん。...そういえばさ、ランクってどうやって決まるの?」
「え、今更なの?えっと、確かランクは、」
「そうだなー、ランクは、魔法の威力とか、レベル、応用性によって決まるんだよー?」
「へぇ...そうなんだ。...って、ビックリした!」
柊香は驚きつつ、
(あれ?このやり取りって、昨日もやらなかったけ?)
と思ったが、それは置いといて、
「あ、
「おはよー。」
柊香と氷麗瑠は挨拶をする。萌花もおはよーと挨拶を返すと、
「それにしてもどうした柊香。今更ランクについてなんて聞くまでもないだろう。入学して最初の方はランクCだったがな、今はもうSだろう?」
「う、うん。ちょっと最近忘れっぽくて。あはは...」
萌花に怪しまれそうになったので、慌てて言い訳をする。と、その時、
「はぁはぁ...ちょっと!急に駆け出すのやめてって何回言わせるの...あ、柊香ちゃん、氷麗瑠ちゃんも...おはよう...」
この光景も昨日見た気がするなと、柊香は思った。とりあえず氷麗瑠と一緒に挨拶をする。
「おはよう。
「おはよー。」
そういえば、三人はどんな能力を持っているんだろうと思った。何かの本で、魔法はイメージが大事だとあったはずだ。それで想像してみる。確か光魔法を持っていたな。光って見透かすイメージがあるし、これを使ってステータスを見れないだろうか。
(《透過》)
たった今思いついたこの魔法を透過魔法と名付けよう。柊香は早速使ってみる。あんまり深く覗くと失礼なので、家を出る前に見たステータスだけ...出てきた。使えるのかと不安になったが、レベル3以上あれば平気らしい。
〈
〔総合評価〕
ランクA (大魔法使い)
〔使える魔法〕
氷魔法 レベル5 (最大)
〔武器〕
氷属性を宿したブーメラン。
〔補足〕
導々丘学園中等部 2年5組。
一属性しか魔法を使えないが、応用性が良く、与えるダメージも大きい。
〈
〔総合評価〕
ランクS (大魔術師)
〔使える魔法〕
風魔法 レベル5 (最大)
植物魔法 レベル5 (最大)
〔武器〕
植物の力が宿った槍。風の力で軽くなっている。
〔補足〕
導々丘学園中等部 3年2組。
風と植物の力で攻撃のみならず、補助もこなせるサポートタイプ。
〈
〔総合評価〕
ランクS (大魔道師)
〔使える魔法〕
雷魔法 レベル5 (最大)
動物魔法 レベル5 (最大)
〔武器〕
雷属性と動物の力が宿った鞭。
〔補足〕
導々丘学園中等部 3年2組。
雷魔法に動物の力を合わせて、強力な攻撃を放てる。
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