第37話 リア・クラークは図書館に行き、学生証を図書館職員に提示する
『ネルシア初級語』の授業は卒業と言われた私は教科書や筆記具等を入れた手提げ鞄を持ち、教室を出た。
三時間目の授業が始まるまで時間があるし、自由にしていいと言われたので図書館に行ってみようと思う。
私の数少ない、元からの所持スキルの『読書』の効果とか実感できるかもしれないし。
それに『スキル一覧』の本を図書館で探したい。
『清潔』スキルは覚えたけれど、他のスキルも取得したい。
1日1スキル。それが私の目標だ。
既存スキルの方が、お手軽にスキル取得ができる気がするんだよね。
『清潔』スキルも既存スキルだし……。
私は入学式後に案内してもらったルートを思い出しながら、図書館に向かう。
地図アプリとかあったら便利かな。
でも、地図アプリを、どうしても取得したいわけじゃない。
あったら便利だなあって思うスキルはいろいろあるんだけど。
たとえば『暗算』スキルとか。
ネルシア学院の生徒たちは授業中だからか、廊下を歩いても誰にも遭遇することなく、私は図書館に到着した。
今思ったけど、迷惑少年『おおのしょう』に遭遇しなくて本当によかった。
図書館に案内してもらった時にざっくりと聞いた説明を思い出しながら、私は制服のポケットから学生証を取り出してカウンターに向かう。
「あの、図書館を使いたいです。これ、学生証です」
私はカウンターにいる図書館の職員に、自分の学生証を差し出す。
ネルシア学院の図書館を利用するためには学生証をカウンターに出さなければいけない。
それで、図書館を使い終えた時にカウンターに寄って、入学式前に触れた『真偽の月水晶』の小さいバージョンの『真偽の小月水晶』に触れて、問題なければ学生証を返してもらえる。
図書館のカウンターに置いてある『真偽の小月水晶』は『図書館所有の本のページを破る』『図書館所有の本に書き込みをする』『図書館所有の本のページを不当に折る』『図書館所有の本を汚す』『図書館所有の本を所持している』状態だと赤く光るらしい。
わざとじゃないけど本を汚したとか、そういう場合は『真偽の小月水晶』に触れる前に図書館職員に申告すればいいみたい。
図書館の職員は私から学生証を受け取って微笑み、口を開いた。
「学生証、お預かりします。図書館の使い方はわかりますか?」
「はい」
私は図書館の職員の言葉に肯いた。
図書館に案内してもらった時に、図書館の使い方について、ざっくりとした説明を受けたから、たぶん説明してもらわなくても大丈夫だと思う。
「何か、お探しの本はありますか?」
「スキル一覧が見れる本を読みたいです」
私がそう言うと図書館の職員は『スキル一覧』が記載された本が並んでいるという書架を教えてくれた。
私は図書館の職員にお礼を言って、教えてもらった書架に向かう。
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