3話 将棋教えて

千聖ちさとを見た瞬間あのつらい日々がフラッシュバックした。友達に宇宙人だと言われいじめられ、千聖ファンクラブのメンバーにボコボコにされたあの日々。でも僕は乗り越えるんだ。新たな可能性を信じて。


「入部希望の二葉 宇宙そらです。棋力は三段です。あとここにいる広町唯と東雲千聖とは指したことがあります。よろしくお願いします」

自己紹介を終えるとゆいが補足する。

「アマ三段じゃないからね」

僕は笑って誤魔化す。

「へ~~三段になってたんだ。宇宙は小学生のときから強かったから納得だけど」

千聖からも驚きの声があがる。そして…

「あの日の続きしよ」

「あの日の感想戦ね。わかった」

止まっていた僕の時間がようやく動き出した。


実は僕は今日の授業中に7年前の棋譜を見た。あのときの将棋はソフトのコピー将棋だった。局面の最善手を覚えてパターン化して序盤からリードを奪いに行くそんな棋譜だった。しかも千聖に指したのは小学生名人戦のために研究した戦型だった。そして問題の局面になる。

「うわ〜~ひど」

「実際この将棋はこの手で終わった。次の手を指した瞬間から半泣きになってたよね」

「こんなことまで覚えてるの」

「実際あの手で余裕ができたから」

「そっか。そうだよね。あの日は唯に勝てたから勝てる気でいたんだよね。宇宙と指す前は。でも始まったら全くスキがなくて…時間だけが奪われてた」

このあともあの日の感想戦を3人でやった。僕はアマチュア時代の将棋を思い出すことができた。


そして将棋部活動の終了間際に

「宇宙くん入ってくれるよね」

唯は満面の笑顔の上目遣いをしてきた。かわいい。ただただかわいい。

「もちろん」

「「じゃあ。将棋教えて下さい」」

千聖の笑顔も重なり…破壊力が増す。

「はい、喜んで」

彼女たちの将棋を僕色に…あれ僕は…あれ。

僕は初めての感情におぼれていった。この感情は何かまだ知らない。


~~~~~~~~~

描写が足りなかったので補足。

将棋部にいたのは唯と千聖の他にあと2人います。

いよいよラブコメパートに入れる…かな。

唯達がどのようになるか気になる方はフォロー、♥お願いします。






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