A話 宇宙の過去
何年経っても僕はあの日の恐怖から抜け出すことはできないだろう。あの日がなかったら今のような学校の暮らし方はきっとしていない。
7年前
僕は小学4年生だった。この年小学生名人になり奨励会を受けることさえ考えていた時期にあったある学校行事。そこで僕の歯車が狂うことになる。
南小将棋大会。確かこんな大会名だった気がする。
日本の文化に触れることを目的にした大会だった。僕はもちろん楽しみにしていたことを覚えている。それが地獄の始まりとは知らずに。
この大会のシステムを書いておこう。まず学年対抗予選がある。そして学年対抗予選に優勝した人が南小将棋大会の本戦に出場する個人戦だ。
大会当日
結論から言うと瞬殺で学年対抗予選の決勝まで勝ち上がった。当然と言えば当然だ。なぜなら僕はこのときアマ6段だった。真面目に参加していない男子が相手になるはずがない。女子の決勝(学年対抗予選準決勝)は広町
そして迎えた学年対抗予選決勝が始まった。学年対抗予選決勝からチェスクロックを使用する。持ち時間10分切れたら1手30秒の秒読みだ。戦型は僕が最近研究した戦型になった。だから当然東雲さんの持ち時間だけ減っていく。僕の持ち時間が8分を切った頃には東雲さんは秒読みになっていた。秒読みになった東雲さんは焦って痛恨の悪手を指した。
もちろん僕はノータイムで次の手を指す。その手を見た東雲さんは負けを悟ったのか目に涙を溜めながら指し続けた。もちろん僕がミスするわけなくそのまま勝負は決まった。
「負けました」
絞り出すような声で東雲さんは僕に告げた。そして東雲さんは悔し涙を流した。どうすればいいかわからなかった僕は5年生の決勝を見に行った。
南小将棋大会本戦が始まる。5・6年生の代表は女子だった。僕はまた女子を泣かせないといけない状況に胸を痛めた。しかし、手を抜くことは僕の性格上無理だった。本戦1回戦。例年通り5年生の代表と戦い5分も経たずに終局。そして決勝。6年生の代表は去年準優勝していた。しかし僕の相手ではない。最後は相手の駒は穴熊囲いのみ。僕の持ち駒にはたくさんの駒が並んでいた。と金攻めを見せたら相手は投了した。優勝したが全く嬉しくない。むしろ胸が痛かった。
翌日
結論から言うと将棋大会の一幕は誇張されて学校全体に広がった。
その結果友達に
「宇宙は住んでるところが違うだろ。本当は感情のない宇宙人でしょ」
と言われ、その後仲間外れにされた。
また東雲さんはかわいいのでファンクラブがあり、そのクラブ会員にボコボコにされた。もちろん精神的に病んだ僕は不登校になり、毎日暗くブルーライトが照りつける部屋黙々と将棋の勉強をした。ただただ辛い日々だった。
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宇宙の過去編でした。次回は唯・千聖の過去編です。
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