急な打診はわからない

 お昼ごはんは、ポテトサラダのサンドイッチ、ツナとレタスのサンドイッチ、温玉入り野菜スープ。

 サンドイッチにかぶりつきながら、千歳が言った。


『緑さんにさ、霊見つける用の御札にまた念込めてくれって言われたんだ』

「ん? 和束ハル探し?」

『うん、緑さんもあかりさんも捜索隊に入ってて、でも見つかんなくて、なかなか休み取れないんだって』

「そっかあ、早く捕まえてほしいけど……」


 俺もサンドイッチをかじった。

 和束ハルは複数回とんでもないことを起こしたし、第一、俺は殺されかけた。あんなのが未だに自由にしてるのは嫌なんだけど、捕まえるために俺が何かできるわけでもないし。


『でさ、今後の仕事の相談もしたいから、御札渡す時お前も来てくれないかだって』

「俺? うん、いいけど」


 俺も同席しなきゃいけないような複雑な話なのか? あるいは、俺にも聞かせておいたほうがいい話とか?


「なんか込み入った話なのかな?」

『わからん』


 千歳は首を傾げた。


『なんか、緑さんは「完全にこっちの都合なんだけど、お願いしたいことがあって」って言ってた』

「そっかあ、なんだろうね」

『とりあえず、御札に念込める時間捻出するようにしとかなきゃなあ』

「俺も家事手伝うよ」

『いや、夕飯に鍋かおでんが多くなるって言いたかっただけだ、作るの楽だから』

「それはおいしいやつだから、なんの問題もない」


 そう言う訳で、次の日、緑さんに会いにいつもの個室のある喫茶店に出向いたんだけど、緑さんは御札の説明をしてからこう言った。


「あの、急な話で悪いんだけど……千歳ちゃん、うちに転職とか興味ない?」

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