不動産屋に話聞きたい

 再び、新築一戸建てについてである。

 次の日の朝食の席で、千歳に「相手に聞いたんだけど、安定したネット回線と自分の部屋があればいいみたい。俺もそんな感じ」と伝えたら、喜んでいた。


『じゃあそれさえ確保しとけば何の問題もないな!』

「千歳は自分の部屋いらないの?」

『別に、リビングで十分のんびりできるし』

「ならいいけど……」


 俺は味噌汁をすすった。


『じゃあ、今週のどっかで時間作って不動産屋行こう』

「それはいいけど、どの不動産屋かとかわかるの?」

『大丈夫だ、名刺もらった』


 千歳は、千歳の物入れ棚を指差した。


「え、よくくれたね」


 千歳は現在、朝霧の忌み子の姿で生活していることが多く、せいぜい中学生くらいの見た目である。そんな子に、いい大人がよく名刺くれたな。

 千歳は得意げな顔をした。


『この辺で家買いたくて、ワシはこう見えても二十歳で、宝くじに当たって預金が一億ちょいあるって言ったらくれた』

「なるほど、うまい……」


 千歳くらいの子が、自分で稼いで一億あるって言っても普通信じてもらえない。宝くじはうまい言い訳だ。


『そうだろ、ワシできる怨霊だろ?』


 千歳はさらに得意げな顔になった。


「じゃあその名刺の連絡先に連絡して、不動産屋さんにいろいろ教えてもらう機会を作ればいいかな」

『そうだな』

「自分で連絡して段取り決められる?」

『それくらいできる!』


 そんな訳で、千歳は不動産屋の営業時間と同時に電話し、直近では明日の午後が予約できるとのことで、俺達は次の日の午後に不動産屋に出向くことになったのだった。

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