閑話 スキンシップ

 風呂上がり、こたつでに入って座椅子でのんびりしていたら、千歳(朝霧の忌み子のすがた)が横にやってきた。そしてボンと音を立てて幼児の姿になる。


『座らせろ!』


 あ、膝に乗りたいのか。


「はいどうぞ……久々だね?」

『だってお前、こたつ出したらソファーに来ないんだもん』


 千歳はむくれながら俺の膝にやってきた。えっ、そんなにくっつきたかったの?

 千歳は俺の膝に尻を乗せ、俺を見上げた。


『……こういうのはさあ、やるのあんまり大人じゃないと思うけど、でもまだやってもいいか?』


 俺は、不意に愛しさが湧き上がって、千歳を抱きしめたくなった。


「……いくらでもしな、別に大人とか子供とか気にしなくていいから」

『本当か?』

「別に、大人でもスキンシップしたい時はあるだろ?」

『それもそっか』


 千歳は安心したらしく、俺の膝に座り直し、俺を背もたれにした。


『落ち着く』

「そう?」

『お前にくっつくと落ち着くんだ』

「そっか……」


 そっか、多分、千歳は俺への親愛はすごくあるんだよな。でもそれは、恋愛ではないんだよな。

 胸がつかえたような気持ちになった。そんな気持ちのまま、そっと千歳の頭をなでると、千歳は俺を振り返って笑った。

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