　和泉が近々嬉野さんと直接会うって。社員の顔合わせ兼嬉野さんの歓迎会で食事に行くんだって。

　和泉と嬉野さんがどんな感じになるかすごく見たい。でも食事会に踏み込むわけにいかないしな……どうしようかな……。

　あ、そうだ。ワシ、成長痛だいぶ引いて、またいろんな姿になれるようになったじゃないか。もしかして、透明にもなれないか？　透明になったら、こっそり和泉を付け回すのもできないか？

　今日は和泉は休みで、狭山先生のDiscordで狭山先生たちとおしゃべりしてる。うーん、とりあえず、和泉に気づかれなきゃ大丈夫かな？

　ワシは洗面所に引っ込んで、鏡を見ながら全身を透明にした。うん、これなら見えないと思うんだけど、どうかな？

　音を立てないように注意して、そっと和泉の近くに行く。和泉はおしゃべりに集中してて、何も気づいてないみたいだ。和泉の目の前でそっと手を振ってみたけど、やっぱり何も気づかない。

　しばらく和泉の近くをうろちょろしてたけど、和泉は本当に気づいてないみたいだ。

　和泉は「じゃあ落ちますねー」とDiscordのおしゃべりを終わらせて、ふとあたりを見回した。

「あれ？　いない？」

　ん？　ワシのことかな？

　和泉はきょろきょろをやめず、ワシのことを探し出してしまった。

「いないな……え、出かけちゃったのかな？　全然気づかなかった……え、出かけるとか言ってたっけ？」

　あ、これそろそろ姿現さないとやばくないか？

　ワシはすばやくトイレに入り、姿を表して、『ここだぞ』とトイレから出た。ワシを見た和泉は、明らかにホッとした顔をした。

「あ、そこにいたの」

『ちょっと、その、掃除してた』

「あー、ありがとう」

　和泉は笑った。

　うん、ワシが透明なら和泉は全然気づかない。これなら和泉にこっそりついていけるな。

　嬉野さんと和泉がうまくやれそうなら……和泉が帰ったあとに姿を表して、嬉野さんに和泉を売り込もうっと！

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