番外編 怨霊千歳の異変
緑さんと南さんに相談しようと思ってることはあったけど、おいしい紅茶が飲めるのはすごく楽しみだった。お昼代わりにアフタヌーンティー奢るって緑さんに言われてる。どんなお菓子が出るのかなあ?
だから、るんるんで横浜駅まで行って、東口に向かった。ここから5分の、レストランに入ってる紅茶のお店で待ち合わせだ。
駅を出て、雨降るかなあと空を見上げたとき。どくん、と変な動悸がした。
え、なんだろう、と思ったとき、ワシの中にいる奴らがすごくざわめいてるのがわかった。ざわめいてるどころじゃない、悲鳴あげてる。普段はうとうとしてる感じなのに、すごく痛くて熱くて我慢ならない! みたいに悲鳴あげてる。
ど、どうしよう、すごく暴れてる、みんな暴れてる、このままだとワシ、またバラバラになる! ていうか、爆発しちゃう!!
中の奴らがものすごく暴れるから、ワシは中身が爆発してバラバラにならないように、とりあえずでかくなろうと思った。でかくなれば、中の圧力が減って、爆発してバラバラにならないと思った。あと、こんな人がたくさんいるところで爆発したりでかくなったりしたら人を傷つけちゃうから、人から離れたところ行かなきゃ!
でも、見回しても日曜日の横浜は人ばっかりで、人がいない場所なんてどこにもなかった。ど、どうしよう……そうだ、上だ! すごく上に飛べば人はいない! 多分!
ワシはおばけの姿になって一直線に上を目指して、爆発しないようにどんどん膨れた。下にいる駅周りの人たちが、悲鳴を上げたりスマホをかざしたりして大騒ぎしてるのがわかったけど、構ってられなかった。
中の奴らは本当にすごく暴れて、今にもワシのことを破って外に出そうで、どんなに大きくなってもおさまらなかった。そのうち、ワシにも痛いのと熱いのが襲ってきた。
どうしよう、なんでこんなことになってるんだ、どうしよう、なんかまた変なことされたのかワシ!? どうしよう、とにかく、とにかく爆発してバラバラにならないようにしなきゃ! もっとでかくならなきゃ!
ワシはとにかく膨れて、膨れて、横浜駅を影で覆っちゃうくらい大きくなった。でも、中の奴らが暴れてできる圧力は全然おさまらなかった。
体中、焼きごてを押し当てられてるみたいに痛くて熱い。もうやだ、もう無理、もう限界!!
『もうやだよう! 痛いよう! 助けて!』
そう叫んで、わんわん泣いて、そしたら、知ってる声がした。
「千歳!!」
和泉の声だった。
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