番外編 鹿沼もみじの現況 上
しばらく、私の周りはバタバタだった。
いろいろ引きちぎられて、ほうほうの体で体に戻ったら、家に児童相談所の人が来ていて、いろいろ話したり体のことを聞かれたりして、そして病院に連れて行かれた。そしたら肝炎で栄養失調だと言われて、即入院になった。
病院食で、久しぶりにお肉やお魚を食べた。病院食なんておいしくないのかと思ってたけど、若干薄味ながらどれもおいしかった。でも、私がお肉やお魚を食べたことを知ったら、お母さんは怒るだろうなと思った。
事態を知ったのは、単身赴任のお父さんがスマホにLINEしてくれてから。コロナでお見舞いには来られないらしい。
お母さんは、私にまともなご飯を食べさせていなかった上にイベルメクチンの飲ませ過ぎで肝炎にしたということで、虐待を疑われてこってり絞られたそうだ。あと、
「お父さんは全く信じられないんだが、お前が幽体離脱して悪霊になってお母さんを騙した人たちを誘拐したと聞かされて、実際にお母さんを騙した人たちが一時行方不明になっていたんだが、関係あるのか?」
と聞かれたので、幽霊的なことに詳しい人がお父さんに告げ口したなと観念して、通話でありのままを話したら、もっと信じられないという反応をされた。でも、信じざるを得ないものを見せられてしまったとも言っていた。何見たんだろう?
次に、南さやかさんという尼さんからLINEに連絡があって、金谷あかりさんというお祓いをしている人と一緒にビデオ通話してくれて、今回の私がした事の顛末についていろいろ話してくれた。
「法律的に取り締まれませんし、証拠が用意できるわけでもないので、あなたを咎めることはできません。ただ、我々は、あなたはとんでもない悪霊になりうる人ということは認識しました。私達は、それを防ぐためにできるだけの手段を取ります」
「……たとえば、どんなことですか?」
「……あなたが、心残りや恨みを持たないようにすることですね」
そして、なにか望みがないか聞かれたので、和泉豊さん(Twitterにアカウントがあったので、名前は知ってた)と話したいと伝えた。善処するけれど、私はまだ入院が続くので、すぐに話したいならLINE通話とかじゃないと難しいとのことだった。
それから、しばらく病院で療養していたら、お父さんから「インターネットが大騒ぎになってる。お母さん、目を覚ますかもしれない」と連絡があった。
詳しく聞いてみたら、お母さんを騙した夫婦の息子が、父親が反ワクチン運動をしているくせにワクチンを打っている、と告発したそうだ。
スマホでTwitterを開いてみた。検索するまでもなかった。和泉豊さんが、きっちりと証拠を揃えて告発していた。
お父さんによると、お母さんはだいぶ混乱していて、和泉先生たちの言ってることが信じられなくなった、何を信じればいいかわからない、となっているそうだ。
私は、和泉先生は信じない方がいいよ、息子さんのほうが信用できるよ、と返事した。
その後、南さんとやり取りがあって、和泉豊さんとLINEのビデオ通話で話ができる段取りがついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます