第24話 結論
私は二人に返事をするべく応接間をお借りした。皆には部屋から出てもらい三人だけとなる。
シロロは堂々としておりルディは下を向いたままだ。
私はシロロに
「シロロ…プロポーズしてくれてありがとう。それからも優しくしてくれたわね…」
「当たり前である!主人に悲しい顔などさせるわけにいかないからな!夫となるなら当然だ!」
と言うと横にいたルディがビクっとした。
「…うん、ありがとう…でもごめんなさいね…シロロとは結婚できないわ…」
「!!まさか!!やはりこの軟弱者の事を!!?それともクソ王子か!?」
とシロロが言う。
「シロロ…悪いけど部屋から出てくれる?ルディと話をしたいの」
と言うとシロロは
「主人の命なら仕方なし!」
シロロらルディを睨むと出て行った。
ルディは…ようやく顔を上げた。
「……ありえない…」
「何がよ?」
「まさか俺を選ぶ気か?この一週間ずっと態度悪かったしシャルを傷つけてばかりだ」
「なら何で私にプロポーズなんてしたのよ!?」
「あれは!間違えたんだ」
「は?間違えたって…どういうことよ!?」
「プロポーズする気なんてなかった!フリッツの言う通り告白が先だったのについ…。しかも出て行った…つもりが途中で遭難し死にかけてフリッツ達には爆笑されるし情けなくて顔向けできなかった…
それに比べシロロは狩に行き立派な鳥を捕まえた。獣の分際で俺よりできるしシャルも嬉しそうで見るのも辛かった……。俺と結婚しても喧嘩ばかりになるかもしれない。シャルを幸せにできないならと思って…」
とルディは語った。
ここ最近の態度はそうだったのね。
私は
「ルディ…あなたが出て行った時、胸が痛くて…いつも側にいたのに急に居なくなってとても悲しかったわ。いつも憎たらしいし嫌味は言うしほんと最悪な性格な癖にね。居なくなると寂しいわ」
と言うとルディは
「……俺…男爵の仕事も何もかも嫌になったというか…シロロが来てからあいつはシャルを守る為必死になっていて近寄ることはできなかったし喋ることもできなかったのに。
俺は情けないとばかりにフリッツやアラン達、お父様やお母様…ザビーネさん達にも、迷惑をかけた。
最後にシャルと話せて良かったと思った。その後消えようと思い、気付いたら荷物を纏めていて書き置きを残し外へ出てフラフラと歩いていた。
妙に寒くなってかまくらを作りそこでただ死を待っていた。幻覚でシャルが見えたけど幻覚じゃなくてフリッツ達が後ろで爆笑してたのが見えた…」
とルディは言う。
「そんなんなんですよ!?俺は!!情けなくて顔向けできないのに手を差し出して帰ってくれたシャルに甘え間違えてプロポーズまでしたらシロロが対抗してきてこんな事に!!もうどうしたらいいのかと悩みました!そんな俺が選ばれるはずはないと一週間の期限を設けた。さっさとフラレてしまいたかった。もう俺もシャルのこと揶揄えないですよ!!」
ルディは頭を抱えていた。敬語と本音がごちゃ混ぜになりパニックを起こしかけていた。
私は隣に座りルディの手を取るとルディはこちらを見る。
「ルディはいつから私の事を好きだったの?」
とそう聞くとしばらくして口を開く。
「そんな事…わかりません。でも…ずっとあなたの事を見てました。イライラしたり怒ったり泣いたり喧嘩したりいろんなあなたを見てた。
シロロといるあなたもね」
とルディは言う。
「私はシロロとは結婚しないわ…。あの子は私の使役獣なの」
「でもめちゃくちゃ顔が良くてシャルとお似合いだ。エドガー様とも匹敵する。そこそこレベルの俺には敵いませんよ」
「そうね。ルディはあの二人には敵わないわよ。でもルディ私がいないとまた投げやりになって出て行ったりするかもしれないわ。その度に私を悲しませる気なの?」
「そんな…俺は選ばれない。シャルの隣にいる資格はもう無いんです…俺は素直じゃ無いしまた喧嘩になるし…優しくも無い…」
「資格なんて誰が決めたのよ?勝手に決めないでそんなの…。別に素直じゃなくてもいいわよ。喧嘩になってもいいわ。優しくなくても…うーん。ちょっとは優しくしてほしいけど…それがルディじゃない。そんなのこっちはとっくにわかってるわ。何年一緒にいたと思うの?元執事!」
と言うとルディはスカイブルーの瞳でこちらをジッと見た。私がルディの片手に置いた手の上からもう片方の手を置き少しだけ力を入れた。
「……俺でいいならこれからも側にいてください。シャルロッテ様。愛してます…」
と言うルディに私も目を逸らす事なく伝えた。
「はい。一生側にいますわ。ルドルフ様。私も愛してますわ」
と言うとルディは安心した様に初めて顔を綻ばせた。こんな顔初めて見るわ。
すると段々と顔が近づいてきた。鼻が擦れ合い軽く唇に触れたと思うとルディとキスをした。
いつの間にか夢中になり後頭部を抑えられながら激しくて熱いキスを交わしているととうとうソファーに押し倒されそうになったところでコンコンとノックされザビーネさんが入ってきてルディは真っ赤になり
「ぎゃっ!」
と物凄い素早さで退けた!
「あらあら坊ちゃん。お行儀が悪い。こんな所で!シャルロッテさんも」
ええ?私まで怒られた。
「ここは応接間ですよ?後から掃除する身になってください!するならお部屋でしなさい!」
と言われて私もルディも真っ赤になり
「「ごめんなさい」」
と消え入りそうに言うとザビーネさんは
「ほほほ!それで坊ちゃん結婚はいつになりそうですか?フリッツ様よりやはり後になりますかね?」
「そっ…それはまだ決めてないですけど!侯爵様にもご連絡しないと…」
と言う。
「え?でも私は侯爵家を勘当になった身だから家族は式には…」
と言うとルディは
「そんなことないですよ。世間的にそうしないとエドガー様の耳にも入りませんし…俺は侯爵家に毎月シャルロッテ様の事を報告してます。侯爵様はあなたの事いつも心配してます。貴方はちゃんと見捨てられず愛されております」
と言うルディ。
「そう…ありがとう…。ルディ」
ザビーネさんはバンバンと手を叩き
「はいはい、続きならお部屋でなさいませ!侯爵家の前にちゃんと坊ちゃんもフリッツ様やアランさん…旦那様や奥様にも報告なさいまし!皆首を長くしてお待ちですよ!
シャルロッテさん?今日は最後の使用人ですわよ?豪華な食事になりそうね。大変だわ」
と言うので
「ええ?結婚するまでは私も使用人扱いでいいわよ。折角だから」
と言うとザビーネさんは
「次期男爵夫人となられるのだから!いつまでも使用人じゃ困ります!」
ときっぱり言うザビーネさんだった。
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