第20話 ややこしいの帰ってくる

 ルディとシロロがバチバチと火花を散らしているし、アランは面白がっている。


 そこへバンと扉が開き、何と大人ウィニーちゃんとフリッツが帰ってきた。


「やっほー!あれアランがいる!あれ?そこの色男誰?何々?何してんの?」


「よぉ!フリッツおかえり!今おもしれーことになってんよ!シャルさんのことをこの色男使役獣とルディが取り合ってバチバチなんさ!」

 と言う。ルディは


「取り合ってない!!ふざけるな!!このクソ犬が生意気だから躾けようとしてるんだ!!」


「何を!?クソ犬だと?我は誇り高きスノーウォルフのボスだ!膝まづけ人間!」

 とついに正体を暴露したシロロに私はもう呆れるしかない。


「「スノーウォルフだと?」」

 よりよってアランとフリッツにバレた!!


「………そうだ!我こそはスノーウォルフのボスだ!今は我が主人の使役獣となり主人を守り愛す存在!!」

 と開き直った!!こいつ!!


「お前達が俺の仲間を一回殺したのか!?」


「…なんか知らないけど…他の冒険者が折角討伐に行ったのに手柄が横取りされたって酒場でぼやいてたけどそういうことー!?なんかわかったね!!あれでしょ?シャルロッテさん、また魔力暴走したんでしょ!?」

 と言われてこっちもバレた。


「うう…すみません…」

 ルディは


「確かに危険だったけどシャルのおかげでこいつは使役獣にできたし今やスノーウォルフ達は人間を襲わなくなったし村を守ってくれる様になりました!!一応こんなのがボスの為ね!…アラン…犠牲はすみませんでした。とりあえず生き返ったので勘弁してもらえませんか?」

 とルディは言うとアランは


「そっか…話してくれてありがとう。おい使役獣…シロロさんか…。とりあえず一発殴っていいか?」

 と言うとシロロは覚悟をした。


「我も…仲間を数匹失った。まぁ部下達も泉に放り込み生き返らせたがな。子を持つ親も群れにいる。だが人間は軽々と森から我等の棲家を奪っていく…。我々も生きるために必死であった。今は良好に餌を与えられるようになる代わりに村を守る約束をしたが…お前が憎いなら殴るがいい」

 とシロロは言うとアランは


「んはぁーー…。なんなんさ?お互い様か。まぁ確かに魔物を敵視するのは当たり前になってるもんな…使役獣じゃなきゃ俺もブチ切れてた…。けどよぉ…なんか理由を聞いたりしたらどっちもどっちだ。人間にも悪いとこはある。ごめんなシロロ」

 とアランは手を出した。シロロは手を出して握る。


 良かった仲直り。


「まぁ…ルディのとの事は決着つけとけよ?」


「言われずともだ!この男に勝ち主人を手に入れる!」

 と言う。ルディは


「はぁ?勝手にライバル視しないでもらえませんか?俺は!シャルなんて別にす、好きでも何でもないんです!」

 と言う。フリッツとアランはジト目で


「こいつさぁ、素直じゃねんだよ。なぁ、フリッツ」


「ああ、昔からなんか知らないけど天邪鬼なとこあるからなぁ!自分の気持ちに素直になれない病気だな!」

 と言うとルディは


「はあ?貴方に言われたくないよフリッツ!双子の癖に!俺たちは似たとこもあるでしょう!?それより何で戻ってきたんです!?とうとう男爵家を継ごうと考え直したのですか?」


「いや?これはこれ、それはそれだよ!男爵家なんか継ぐ予定は無い!ただそうだなぁ…ウィニーちゃんと婚約したから報告に帰ってきた!」

 とフリッツはくっ付いてるウィニーちゃんと見つめ合い頰を染めたのだ!!

 えええええ!?どういうことー!!?


 や、ややこしいーーー!!


 *

 今度は男爵やジュディス奥様も交えてフリッツの話を聞いた。


「いやーーー!!依頼で魔物討伐に各地を周ってて…まぁいろいろあってウィニーちゃんが危険な目に遭ったところを俺がスサッと助けに入りなんつーか?恋が芽生えちゃった的なやつで後はもうラブラブでさ!!婚約しちゃったー!!」

 とでへへとフリッツが言う。


「変な薬盛ってないですよね?」

 デレデレのフリッツを見てルディが気持ち悪がった。


「ウィニーちゃんそんなことしないもん!!人の心を操るとか!魔女だけどそんなの依頼された時しか薬作らないもん!」

 と言う。フリッツもうなづき


「変な薬は一切使ってないから!操られてないからね!純粋にウィニーちゃんの事が好きで将来結婚したいんだ!父様母様、弟よ!認めてくれる?」

 といきなり真剣な顔で言うフリッツに男爵様達は


「まぁ、うちにはルディがいるしいいだろう」


「おまでとう!フリッツ!ウィニーさんも!!お幸せに!!結婚式になったらちゃんと招待してね!!」

 と奥様も普通に喜んだ。ルディは


「はああ、男爵家の後継はやはり俺がなるしか無いのか」


「なるしか無いよ、頑張ってルディ!」

 とフリッツが言う。アランも


「頑張れルディ!シロロとの対決もな!」

 と言う。男爵は


「ところでこの方は誰だね?シャルロッテさん」

 と言うからとりあえず一から説明すると男爵は


「ええっ!?や、ややこしい!!」

 と言い出した。私もそう思う。奥様は


「そう…シロロちゃんとルディがシャルロッテさんを取り合うなんて…素敵!ロマンスねえ!!」

 と喜ぶ。ルディは


「お母様まで!だーかーらー俺は別にーシャルのことなんて想ってませんからーーー!!」

 とそっぽを向く。

 男爵は


「まぁルディは素直じゃ無いからね。シャルロッテさん、こんな息子だけど見捨てずにいてほしい!こいつの言っとる事は全部裏返しに捉えてほしい!


 つまりシャルロッテさんの事が大好きなんだよ」

 と言うとルディは


「あ、あほばっかりで敵わない!!俺はもう知らない!」

 と立ち上がり部屋を出て行った。


「あいつ…照れ屋だな」

 とアランが言うと私自身とシロロ以外はうんうんとうなづいていた。


 なんなのよ。本当に素直じゃないのかしら?


 しょうがないけど結局は私はこれまで通り過ごすことになる。シロロは人間姿になり私やザビーネさんやコペルニウスさん達の手伝いも進んでしてくれた。

 ルディとは仲が悪いまま。

 ルディが犬用の寝床を用意して


「これからはここに寝る様躾なさい!シャル!」

 と渡してきた。なんなの?ヤキモチ?

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