第6話 可愛い魔女さん

 次の日にフリッツは約束通り魔女さんを連れて来たが…私とルディは驚いた!!


 黒髪に赤い目をした魔女さんは確かに可愛い!!

 と言うかフリッツにしがみ付きフリッツも頭を撫でている。


 …そう…魔女さんは子供だった!!そんなの可愛いに決まっている!!

 まだ8歳くらいかな??


 フリッツを見て…そしてルディを見て驚く。


「フリッツ様が増えた!!どうしよう!!」

 とか細い声で言う。フリッツは


「ウィニー・レムリカって言うんだ。こいつに助けて貰ったんだ。こう見えて100歳超えてるんだよ!」

 と言うとポカポカとウィニーちゃんがフリッツを叩く。


「歳のことは言わないで!!フリッツ様の意地悪!」

 と言うと私の方を見た。

 可愛いわね!!いちいち!これで100歳とは魔女って凄い!


 しかしスッと目を細め私を睨む。


「フリッツ様に色目を使ったら串刺しにしてやる。この白髪猿女!」

 と毒を吐いた!!こんな可愛い顔で毒吐くんだ!?


「ははは!色目?そんなのシャルには無理ですから!!」

 とルディが笑う。何であんたにそんなこと言われなきゃいけないのよ!


「夜会でも王太子に無視されて不貞腐れて声をかけてくる男性達に八つ当たりのように睨んで周囲をビビらせてたくらいですからね!」

 と過去の恥を晒される。くっ!ルディめ!!


「そうそう!いくら綺麗な顔してても俺は長い髪の方が好みなんだー!」

 とフリッツが笑う。するとホッとしたようにウィニーちゃんは


「良かった!!私髪長いよ?あの子より長い!!」

 と黒髪を自慢して可愛い。


 しかしウィニーちゃんは


「そうだ、私ね…この姿じゃないのもできるの!フリッツ様私の事子供だと思って相手にしてないでしょう??」

 とプクーと頰を膨らませるの可愛い。


「ん?なんだよ?姿変えられるのか?さすが魔女だな!犬とかか?」

 とフリッツも小さい子相手に笑っているが


「ちゃんと!大人の女になれるもん!」

 と言い何か呪文を唱えウィニーちゃんの周りに魔法陣が浮き上がった!!


 驚いて離すフリッツ。

 煙に包まれウィニーちゃんが出てきたと思ったらなんと!

 ウィニーちゃんの身長が伸びて本当に大人の女になっていた!!しかも服は色気ムンムン漂う黒のスリット付きの細身のドレスで胸が大きく出て露出度も凄い!!大人の色気だった!!

 顔も大人っぽくなっており美魔女だ!!


 フリッツやルディも驚き…めちゃくちゃ胸を凝視していた!流石双子だわ。見る所そこかい!!


「どう?ウィニーだって大人になれるんだからねっ!」

 こんな大人姿なのに子供口調でおかしいが…フリッツは


「おお…うん…凄いなぁ…!特に胸が!」

 するとパンとルディがフリッツの頭を叩き


「ストレートな感想を言うんじゃないですよ!!」


「なんだよ?ルディだって胸ばっか見てたし!」


「男なら皆見ますね!!」


「そりゃそうだ!!」

 とフリッツとルディはガシっと握手して意気投合した。何なのこいつら。

 因みに私は大人ウィニーちゃんみたいに立派な胸はなくむしろほぼ無いと言っていい。これも王太子に嫌われる要素の一つだったのかも。

 いつも詰め物で誤魔化してたの見抜かれてた?


「それにしてもお姉ちゃん凄いね!マナの量!!大きいね!!」

 マナって魔力のことかな?


「見えるの?」


「ウィニーは魔女だから見えるもん!!凄いでしょ!!」

 とそんな胸突き出してえっへんとされてもなぁ。


「私これ何とかしたいんだけど…怒ると周囲の物とか人を傷付けかねないし…薬とか持ってる?」

 と聞くとウィニーちゃんは


「そんな薬持ってない!マナ量は人それぞれ決まってる!でも困ってるなら一時的な処置をすれば良いんだ!」


「一時的な処置?それはどういうの?」

 するとポシェットからウィニーちゃんが不気味な人形を取り出して私に渡した。


「鼻を押してみて」

 と言われて押すと…

 急に全身から力が抜けて気持ち悪くなり倒れそうになった!!ルディが何とか支えてくれた。


「鼻もう一度押して」

 と言われて何とか押すと気持ち悪さは治った。


「何?これ?凄い気分悪くなった?呪いの人形?」


「違うもん!マナ吸いのマナスちゃんだもん!」

 名前今考えたわね。


「これで私の魔力が吸い取られたのね?」


「そうだよ。怒りが湧いたらマナスちゃんの鼻を押せばいいんだ!」


「そして鼻を押すと止まると…しかしマナスちゃんに溜まった魔力はどうするんですか?このマナスちゃんさっきより太りましたよ」

 とルディが指摘するとウィニーちゃんは窓を開けるとマナスちゃんの口を開けドッと庭の木に当たり木が破壊された!!


「うわばはばば!やばあ!!」


「成る程…こうやって吸引したり出したりするんだ」


「さっきのは別にあんた怒ってなかったから気持ち悪くなったんだよ」


「怒った時にこれ使えば物壊さなくて良いのね!やった!!」

 と喜ぶとギイと扉が開きザビーネさんが怒っていた。


「貴方達…庭の木を破壊しましたね??」

 と言われ私達はヒエッとなる!ウィニーちゃんは子供の姿に戻りフリッツにまたしがみついていた!!


「…シャルロッテさん…貴方の仕業ですか?」

 と聞かれた!!ルディは


「まぁ…シャルのせいだけど」

 とルディが余計な一言を言ったせいで私はザビーネさんに延々と叱られる羽目になり仕事を余計に増やされた。

 ルディの奴!!今度この人形で吸い取った魔力ぶつけてやろうか!!

 と思いつつも私は庭の破壊された木々を拾い集め掃除を始めた。


 *

 それからウィニーちゃんはフリッツに大人の姿になりべったりして度々訪れた。どうも私を恋敵として見ているようだ。フリッツは双子なのを利用してたまにルディの格好をして誤魔化していたがウィニーちゃんに見抜かれていた。流石魔女である。


 しかしある日とうとう我慢できなくなったフリッツは夜中に家を抜け出して街に逃げた。ウィニーちゃんも後を追うようにいなくなりちょっと家は寂しくなったがルディは怒った。


「フリッツ……跡継ぎを放置して冒険者ギルドに登録に行ったようです!くそ!押し付けられたー!」

 と頭を抱えていたがルディのお父さんは


「まぁ…観念しなさい」

 と言い笑った。

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