第7話―席替え―

その日は席替えがある。

だからなんだろう、キンチョウしてなかなか眠りにおちなかった。やっと眠りにつけるとネボウをしてしまった。

いそいで教科書をたくさん積んだ重たいランドセルをせおって玄関を出る。

軽快けいかい(かろやかで気持ちいい)な朝日が全身を浴びながら腕をふりながら学校に向かって走る。


(そういえば足が早い子がモテていた。

ぼくの足は、おせじでも速いとはいえない)


もし、もしもアツヒメにもっと自分をみがけば前よりも好きになってくれるはず。

なら明日からでもランニングでも始めよう。

――無事に学校にたどりつく。

ハァハァといきが上がって、やっと空気がすえる。門をくぐればグラウンドを走ったりして遊んでいる子が目にはいる。


(急いでみたけど……まにあったか。

ゆっくり行ってもよさそうと見ていいかな)


遅刻する心配がなくなり小さく胸をなでおろした。そのまま教室へ行って肩の負担がかかるランドセルを置きたい。はやく重たい思いから解放されたいと今度はそっちの方へ考えに変わる。


「あっ!ちょっと遅かったわねズイ」


「えっ、ああ…うん。アツヒメか」


アツヒメがまとうのは登校する私服。すこし怒って近づいてきたアツヒメは手を腰にあてる。

小学校では私服での登校となっていてデート用と分けており学校ための私服は動きやすさを優先にしている。


「そろそろ怪しまれるから行くけど席は同じになれると……いいよね。それだけだから!また放課後で」


まくし立てるようにしたセリフのアツヒメは返事をまたずに走っていた。


「ああ、また。

やっぱりアツヒメも席替えをすることを気にしているみたいか」


しぐさ、セリフ、かわいい。でもどうしてかな。胸のおくではドキドキしていない。加えてその感情の揺れといういうものも知らない。

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