第8話―恋愛ではなかった―
かのじょといる時間は、それなりにたのしかった。
けど気づいてしまった。
ぼくのドキドキしていると感じたのは別物で、そこに向けられているのは
はねるよう笑っていたのがおさまる。そして向けていた好きというもの、それはアツじゃなくワクワクという
学校のつくえを顔を寝るようにする。それを両手でおおい隠してカベのようにつくる。
(どうして、アツの顔をみて好きだったというのが気づいてしまったんだよ。
ただの
風が心をふきぬけていく。
はじめて好きになったと思ったのは知らないことを知っていくこともの。
「ねぇ、どこか体調がわるいの?」
つっぷしていた顔を上げれば
アツが心配そうな顔をして声をかけてきた。
「えっ、いや。そんなことはないよ」
「ほんとうに?ねぇねぇ、ほけんしつに行ったほうがよくない。顔色がわるそうだよホントーに」
「ほんとうだよ。だから心配しないで授業に集中しないといけないよアツ」
「……うん。でも、痛かったら言ってよ。どこか苦しいなら無理してガマンするのよくないからね」
「わかったよ。心配してくれて、ありがとう」
話をするだけで熱いと思っていたことが、すべてが見知らぬ道に足をふみいれたことを知ってからアツがなにを言っても熱くなれない。
ならアツは……ぼくのこと好きなのだろうか。
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