第12話 話せる女子とバレンタイン
高美さんに話せる人いるでしょ?
と言われたが僕と話す人は、女の子に断定したら、4、5人居るか居ないかだと思う。
1人は幼稚園からの幼馴染の小林という子
もう1人は大沢、高美さんも話せる。
4、5人と最初に思っていたが、しっかり考えると3人だけだった。
小林『おはよぉ。今日バレンタインだからいつも通りあげる!!』
そう言って小林が朝登校してきた下駄箱で僕にチョコをくれる。これはいつもの義理チョコで、親同士が仲のいい小林とは1年に1度ある行事みたいなものだった。
田中『おはよう。ありがとう!!また何か返す!!』
軽く返事を返してその場が終わる。
後ろから高美さんと大沢が歩いてくる。
大沢『おはよう。何?もうバレンタインもらったの?』
田中『いつもの義理チョコだよ毎年くれるんだ。』
大沢『へぇーそう毎年手作りくれるんだすごいねー』
高美『田中君は小林さんと仲良いよね?幼馴染だっけ?』
田中『うんそう、親同士が仲良いからそれでいつも通り渡される流れ作業みたいなもんだよ笑』
田中は心で高美さんに小林とあまり仲がいいと思われたく無かった。小林は悪く無いが、なぜか仲が良いところを見られると都合が悪いような気がした。
高美『私からも今年お世話になったからチョコあげるね。はい。』
急に高美さんからチョコを渡される。入れ物は手のひらサイズで、正方形を薄くした感じの形、色は黒っぽいけど薄い黒、灰色?やっぱり黒。
リボンは薄い黄色だった。
田中『えっありがとう。いいの?本当に?』
高美『家帰ったら食べてね。』
大沢『えぇー私何も準備してない、何かみんな女の子っぽいんだけど!!』
そう言って大沢がケラケラ笑った。
大沢らしい一言があってよかった。
もしその言葉がなければ田中の高美さんを好きな気持ちが言葉にならずに滲み出そうだった。
いつも通り3人で教室に向かう朝から幸せな1日だった。
家に帰ると親には、バレないように高美さんのチョコを開ける。
中には猫?と最初は思ったが可愛い虎の形のチョコ。
何で虎?と思った。
田中は笑った。高美さんと話した色の話を思い出して納得した。そのために箱もリボンも色を合わせたのだと気づいて、高美さんの遊び心とあの日の話を覚えていた事を知って嬉しくなった。
今日は幸せな1日。
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