第10話 3年生夏の試合

 夏、暑い夏、

 今日は3年生にとっては、負けたら終わりの夏の大会。

 いつもと違う体育館、やたらたくさんいる各チームの保護者、普通に居ても汗をかくのにこれだけの人数が真夏の体育館に入ったら地獄の蒸し器になる事は、馬鹿な田中でもはっきりと分かる。

 そしてこの試合に勝たなければいけない事も、自分が任せられているレフトというポジションで、スパイクを決めなければいけない事も頭で分かっている。


 試合前の練習が終わり。顧問の前に集まる。


 キャプテン鈴木『集合!!』

『今から戦う相手は、レフトエースが強い、だから絶対にブロック2人は着くように。』

『あとは練習通りやろう。』


 顧問『3年最後の大会だから…2年が足を引っ張らないようにやれよ。』


 2年『はい!!』


 主審が笛を吹く『ピーーーーー』


 お願いします。と言い両チームが握手をする。

 キャプテン鈴木は、手を挙げて自分がキャプテンである事を主審に示す。

 副審がバレーボール特有のローテーションのミスが無いかを確認して手を挙げる。それを見たキャプテン鈴木は声を出す。


 キャプテン鈴木『よぉーーーし!!』


 みんながコートの真ん中に集まり円陣を組む…


 キャプテン鈴木『さっきも言ったけど向こうのエースに2人ブロック着くように。サーブはできる限りリベロ外せよ。』

『楽しくバレーボールやろう。』

『行くゾォーーー!!』


 それに合わせて全員で声を出した。

 拳を上げてポジションにつく。


 試合が始まり、両チーム共互角の戦いをしていた。

 1試合2セット先取で3セット目は、15点を先にとったチームが勝ち

 1セット目を先取したが、2セット目は相手チームに取られてしまう。

 運命を決める3セット目、田中のサーブから始まる。

 田中のサーブはアウトになる。


 田中『すいません!!』


 キャプテン鈴木『次行こう相手のサーブしっかり返すぞ。』


 相手のサーブが飛んでくる。練習中なら取れる簡単なレシーブを田中はミスした。


 田中『すいません。』


 キャプテン鈴木『一本あげてくれれば決めるから頼むぞ』


 田中は自分のところにサーブが来ないでほしいと思った。もうミスをしたく無いと思った。

 普段しないミスをした田中を見たせいか、他のチームメイトもミスをし始めた。

 ミスや嫌な空気が連鎖するのを感じた。


 顧問『タイム』

『お前ら何本ミスするんだよ?あっ』

『田中お前のミスからだぞしっかり取り返してこい。』


 田中『はい!!』


 そうしてコートに戻る。

 相手のサーブを返しキャプテン鈴木がスパイクを決める。そしてそのままキャプテン鈴木は、サーブを打つ


 キャプテン鈴木『行くゾォー!!』


 そう言って打たれたサーブで点数を取る。

 田中もスパイクを決める。

 14対13で相手が1点リードここでスパイクを決めれば同点ミスれば敗北と言う場面で田中にトスが上がる。


 田中にトスが上がると分かっていた相手の選手が3人でブロックに来る。田中はフェイントで逃げた。

 そのボールを相手選手に取られ、相手のエースがスパイクを打つ。

 地面にボールが落ちる。

 喜ぶ相手チーム、整列するキャプテン鈴木、


 主審『ピーーーーッ』


 選手たち『ありがとうございました。』


 キャプテン鈴木の引退が決まった。

 鈴木は、泣いた。


 顧問『鈴木3年間お疲れ様!!

 1人しか居ない中でよく頑張ったよ。』

『これから高校受験とか大変だけど少し休んで始まれば良いよ。』


 そう優しい言葉をかけた顧問だったが、2年には、厳しい言葉をかけた。


 顧問『試合前にお前ら2年足引っ張るなって言ったよな?良い加減にしろや、どうせ自分達の代じゃ無いからとかそう言う気持ちでいたんだろ?』

『とりあえず帰る。』


 こうしてその日学校の体育館に戻り吐くまで

 練習をした。辛かった。バレーボール辞めたくなった。でも自分が何もできていなかった事も、キャプテン鈴木に申し訳なかった事も心から思っていた。




 すいません読んで頂いている方へぽぽぽです。

 ラブコメなのにスポーツの事書き過ぎました。

 すいません読んでくれてありがとう。🧎🏻





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