第7話 ナイス大沢

 何となく繰返しの日々ではあったが中学2年になって、絡む相手が変わった。何より好きな相手が出来たのだから、学校に行く足は軽くなった。



 隣の席に座る大沢は、文武両道の言葉を体現する女だ。陸上では、全国に行き。勉強では、常に上位をキープしている。

 その大沢は、高美さんの親友である。

 いつも授業終わりの10分の休憩は、高美さんが大沢に勉強を聞きに来たり、世間話をしに来る。

 大した話はしていないが、次の授業の準備をしたり、寝たふりをしながら、聞き耳を立てている。

 積極的に話に行けない、田中には貴重な情報源だから積極的に聞き耳を立てる。


 大沢『みーはさぁ…可愛いよね。誰かに告られたりとか好きな人とかいないの?そう言う話聞かせてよ〜』(みーとは高美さんのあだ名である。)



 高美『えっ好きな人は…居ないよ…

 最近先輩に告白されたけど断ったの何か怖かったから』


 大沢『本当に居ないー?何か一瞬間があったよ?ケラケラ

 それより何さらっと告白された話してるのよ。やっぱりモテるね。みー』


 高美『そんな事ない、一回だけそう言うのがあったってだけ!! 誰にも言わないでよ今の話。』


 大沢『絶対言わないよ。だけど誰がどこで聞いてるか分かんないよ。ほら田中君とか寝たふりかもよケラケラ』


 図星、ズボシ、ズボ氏、最初は、高美さんの、好きな人が居ない話からの先輩に告白された話に対して

 答えを知るのが怖いドキドキと、知ることが出来て嬉しいドキドキがあった。

 だが今はこの寝たふりを大沢にサラッと言われその答えを求められているようでドキドキした。

 悪い事をした人がドキドキする時は後者の方だと思った。


 田中は静かに手を上げた。

 知ってはいけない事を知ってしまったと言う謎の罪悪感から自首するしか田中の心が軽くなることがなかった。重く捉えすぎである。


 田中『ごめん、流石に聞こえてきた。』


 大沢『ケラケラ…田中君起きてるじゃん

 話入って来れば良いのに。』


 田中『いやいつも楽しそうに話してるのに僕が入ったら邪魔かなって、だから出来るだけ小さくなってた。』(チョット声のトーン高めおどけ風)


 大沢『いやその背のデカさで、髪の毛寝癖の人小さくなれるわけないでしょケラケラ。』(ケラケラは漏れ出しているのだ)


 高美『田中君いつも芸術的な寝癖してるよね。結構風に揺れたりするとフワフワ動くから気になってた。クスクス』


 田中『そんなに?毎回水でパッシャパッシャ濡らしてくるよ。』

 田中の寝癖は水に濡れた後、自転車のためヘルメットをかぶるので、ヘルメットより長い毛が風で乾き外にピョンピョン跳ねていた。


 大沢『水遊びじゃ無いんだからさケラケラ。』


 高美『必死に寝癖の話してる田中君、面白いねもっとクールなのかと思ってた。クスクス。』

クスクスも漏れ出しているのだ。



 この日から10分休憩を3人で話すようになった。

 

神よこの空間をありがとう!!

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