第2話
「はい、舞台に上がってきてくれた役員の人たちに、一人ずつ話を聞いていきます!誰から行こうかなぁ?」
生徒会長は一人一人をじっと見る。
「それじゃぁ、まずは松下さん!自己紹介をどうぞ!」
少し茶色がかった髪を後ろで1つにまとめている少女が生徒会長に促されて一歩前に出た。
「皆さんおはようございます。初めまして。今年度生徒会、議長を務める二年二組松下穂香です。この生徒会が素晴らしいものになるように、努力してまいりますので皆様、一年間生徒会をよろしくお願いします!」
ひとしきりの拍手の後、笑顔で松下先輩は会長の隣に立った。
「それでは次に、一年生君行ってみようか。西木君。どうぞ」
今日2回目の胃がつぶれそうな感覚。
まだ全然言うこと全く決まっていないのにもう俺?噓でしょ?
それではどうぞ!と、促される。
会長は小さな声で笑顔だよ、と言ってガッツポーズをしている。
ガッツポーズに笑顔で返して前へ出る。
息を吸って吐く。自分にできる精一杯の笑顔を作って。
「初めまして。今年度生徒会、書紀を務める一年三組の西木優也です。こうやって人前に立つのは苦手なんですけど、一年間先輩方と一緒に生徒会の一員として努めて参りますのでよろしくお願いします」
緊張したぁ。もう無理、帰って布団にもぐりたい。疲れた。今週分、いやもう今月分の体力全部使った。
「皆さん、西木君に拍手を!」
たくさんの拍手を浴びせられて、むずがゆい。でも、何だか心地良いかも。
しっかり、しっかりしないとな。
「では、次に――」
~~~~~~~~~~
全員の自己紹介を終えると、すぐに朝礼は終わった。
解散した時に会長が「今日の放課後、生徒会室に集合です」と言っていた。早くホームルームが終わるといいが。
ホームルーム。数学だとか化学だとかなんかよりは面倒ではないが全てが楽しいわけではない。
中学のころには修学旅行の班を決める話し合いで男子と女子がもめて泣き出す。なんてこともあった。
そして新学期のホームルームは長い。
自己紹介だったり、プリント配布。ましてやアンケートなんて面倒な事が沢山山積みになっている。
まず自己紹介。高校生活での第一歩。友達作りの第一歩だ。
けれども、俺は昔から自分を派手に見せたりよく見せようとすることが得意ではない。
何かしら。何かしらのことは考えておかないとパッとしない奴だって友達が出来なくなるぅ……。
でもなぁ。こんな心配しても何にもならない気もするんだけど、気になるよなぁ。
でも他人はそんなに自分以外には興味がないって親父が言ってたしそう思えば少しは楽かも。
こんなことにビビッてないで自分に自信を持たないと。なんってったって生徒会に選ばれたんだ。
そんな適当なことを考えていると担任が拍子抜けする事を言った。
「はい、二日目ですが担任の
「いやいやいや。いやそんな。別にやらなくていいですよ?そんなに楽しみにしていたわけでもないですし」
「そうなの?私には全然、ものすっごく楽しみにしてました。としか見えないけどね」
「そうですかねぇ?もう僕はいいですからクラスのほかの人にでも振ってくださいよ」
クラス中のみんなが笑いながら俺と先生をみている。自己紹介はしていないがまぁいい印象を与えられたんじゃないかな?なんて思いながら時計を見ると放課後の時計の針は集合時刻を過ぎようとしていた。
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