第7話 追求
なんだかずっとモヤモヤして昨日は眠れなかった。本当になんだったんだろう、昨日の私は。彼のことが好きだから?でもそれって"ヤンデレ"とかいうやばいやつだよね…、私は絶対そんなんじゃないと思ってるんだけどな。いや、絶対違う!そんなわけないよね!
このモヤモヤを何とか抑えて、明日提出の課題やらないと...
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はぁ、また一週間始まったよ。土曜日はまだ日曜があるって思ってても、意外と日曜日って一瞬で過ぎちゃうよね。ほんとに何もしてないや、昨日は。
今日は日直なので、僕はいつもよりも早く学校に来ていた。日誌とか書かないとだし、黒板も消さないといけないし、めんどくさいなぁ。
ガラッ
え、誰か来た?早過ぎないか?
「あ、御城さん、おはよう」
「え!?あ、蔭山、おはよう」
「今日は早いね、何か用事とかあったり?」
気づいたかみんな、僕が敬語を使っていないということに!素晴らしい成長だろう、そうだろう。はっはっはっ!
「え、えっと、なんか早く目が覚めちゃって!家にいてもあれだし早く来たんだ!」
「そうなんだ」
「う、うん...」
そう言って席についた御城さんは机に突っ伏してしまった。体調でも優れないのかな、様子がいつもと少し違ったし。
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何も考えずに早く来ちゃった。
誰もいないだろうな、こんな時間。
時刻は7時半、学校がはじまる1時間も前だ。
私はため息をつきながら扉を開けようとしたが、教室に誰かがいることに気づいた。
誰だろ、先生?それとも私と同じ早く来すぎちゃった系?まあいっか、寝てればいいっしょ。
そして私は扉を開けた。
ガラッ
「あ、御城さん、おはよう」
「え!?あ、蔭山、おはよう」
え!蔭山くん!?なんでいるの!?…って、日直か。
少し取り乱してしまったけど、なんとか挨拶を返し、自分の席に座ることに成功。
まさかいるとか思わないし!しかもこんなタイミングに…ほんとなら2人きりで絶好の機会なのに。
昨日のことがあってから私は彼に話しかけるのが怖くなってしまった。またあの感情が湧き出てくるかもしれないと思うと、迂闊には近づきづらいのだ。
でも2人きりだし…昨日のこととかも色々聞きたいし…、よし。
「ね、ね〜蔭山」
「どうしたの?」
「土曜日って何してた?」
「えっと、本屋に行ってたよ、読んでる本の新刊発売日だったからさ」
「そ、そうなんだ〜」
そんなことは知ってる。私が聞きたいのはそこじゃない。
「実は私さ、偶然見かけたんだよね。蔭山のこと」
「え?そうだったの?なら、声かけてくれても良かったのに」
「私もそうしようと思ったよ、でもね…」
「で、でも…?」
「蔭山、女の人と話してたよね」
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「蔭山、女の人と話してたよね」
御城さんは今までに聞いたことの無い程のドスの効いた声でそう言った。めちゃくちゃ怖いです。過去1ビビってます今。あと目も怖いです。
「え、あ、はな、話してた、よ」
「あの人は誰?」
「えっと、あの本屋さんのアルバイトの人で…」
「名前は?」
「詩織さ…望月詩織さんだよ」
「ふーん、望月…随分大きいように見えたけど、年上?」
「だ、大学1年生だよ」
「大学生…そっか、ありがと、日直頑張ってね」
「は、はい…」
なんで急にそんなこと聞いてくるんだろう?何をお考えになっていらっしゃるんですか。本当に怖いです。
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まただ。さっき蔭山くんに話しかけた瞬間、いつも私ではない私が現れたような気がした。普段よりもずっと低い声で、威圧的な態度の私。どうしちゃったの…私。
でも、蔭山くん、望月って人を"詩織さん"って呼びそうになってたよね。私のことは苗字呼びなのに。それはちょっとやだなあ…私も呼んで欲しいよ、名前。というか私って本屋のアルバイトよりも新密度が低いってこと?もう、またモヤモヤが止まらないよ…。...そうだ、連絡先聞こう、そうすれば学校以外でも話せるし、このモヤモヤも晴れるかもしれない!でも緊張するなぁ…、でも、頑張ろう!
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「あのさ、蔭山、連絡先交換しない?」
え!?急すぎない!?でも、さっきの怖さを思い出すと断れるわけなんてないだろ…
「え、あ!はい!是非!」
「ありがと」
女の子の連絡先、家族以外で2人目か。成長がすごいぞ、僕。にしても御城さんと交換してなかったのか、1年一緒だったのに。高校生ってそんなものなのかな。
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連絡先ゲット!ちょー嬉しい!もう最高!モヤモヤ吹き飛…ぶ訳ないよ。
見ちゃったよ、あの女の連絡先。
私が初めてじゃない?どういうこと?許せない。
あの女はなに?〇されたいのかな?もしそうならすぐにでも〇してあげるけど。
...もう、なんなの、私。
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