わたしこそ探偵!(知名度低し)
「その手のツアーでは一番の人気スポットだそうだ。警察は水面下で動いてる」
「ほお。警察が出ていけば、まず世間が放っておきませんからね」
「言っておきます。マスコミには非公開ということで」
「またですか。わたしの知名度は底を這っている。いい加減にしてくださいよ」
”担当の刑事”、渋い顔をし。
「いいじゃありませんか、先生。ここは息抜きと思って」
美春、事務仕事に飽きたように口をはさむ。
「べつにいいですけどね。渡航費用はそちらもちなんでしょうね」
”担当の刑事”、この探偵の要求をのむデメリットと、事件の早期解決をみるメリットをすばやくはじき出したようだ。
事は警察の威信がかかっている。
「人が眉をしかめるツアーに、わざわざ出向するんですからね」
「先生、それだったら大学のお友達を誘ってもいいですか? そういうの、好きな子がいるんですよ」
「ん? しょうがないな。ま、料金は警察もちだから、いいよ」
「(ちょ、ちょっと! 限度ってものを考えてくださいよ!)」
かくて。
そう大きくも小さくもない応接間で、読みかけの本のことなどを思い出しでもしていたかのような月城遊里探偵は、重たい腰を上げ、某所、山奥の山荘にとんでもないツアーの客として、まぎれこむことになったのである。
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