第6話 綾乃さんの回答
後日、私たちは執念深く綾乃さんの帰宅時間を狙う事で、無事に綾乃さんと出会う事が出来た。
…もっとも、こうなってしまってはどっちがストーカーかわからないが。
「あら、美咲ちゃん紗英ちゃん久しぶり。」
綾乃さんは私たちに気さくに話かけてくれたが、やはり表情はどこかくらい。
私たちは、意を決して綾乃さんにこれまでの事を話した。
イケメン彼氏と一緒にいた時、表情が暗かった事。挨拶して貰えなかったのがショックで、いろいろ調べてしまった事、結果イケメン彼氏が家の前で待っていた事。
紗英は綾乃さんに怒られるんじゃないかとビクビクしていたが、綾乃さんは優しく答えてくれた。
「2人とも、私の事を心配してくれてありがとう。2人の言う通り、あの人は私の元彼氏よ。」
『元彼氏って…確かに綾乃さんは困ってる風に見えましたけど、彼氏さんの方はにこやかでしたよ?』
綾乃さんが本当に嫌っているなら、もっと険悪な雰囲気で、イケメン彼氏もあんなに爽やかにいられないはずだ。
「そうなの、私も彼のこと嫌いじゃないのよ。とっても良い人だと思ってる。」
「じゃあ…なんで別れてしまったんですか?」
紗英も理解できないでいるから、思わず綾乃さんに問いただす。
「そう…何が悪いって訳じゃないのよ。でもね、付き合っていると性格も良くわかってくるでしょ?私、どうしてもあの人と一緒にいる未来が想像できないの。」
『だったら、ハッキリ言ってやればいいじゃないですか。』
「何度も説明したわ。でもね、彼も一歩も引かないの。悪いところ全部直すから、やり直して欲しいって。」
『それだったら、彼氏さんの事もう一度見直して、付き合ってみたらいいじゃないですか。』
「そうね、付き合ったらきっと楽しいわ。またやり直そうって気持ちになっちゃう。でも、それじゃあ同じ事の繰り返しなの…。」
私たちは、綾乃さんの気持ちがわかったようなわからなかったような感覚だった。
けれど、綾乃さんの意思は固い様に感じた。
「2人とも、彼が待ち伏せしてる事教えてくれてありがとね。」
綾乃さんの表情は、どこか決意したように見えた。
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