第6話

「ひいいいぃ!」

 黒田は腰を抜かし、椅子から転げ落ちた。

「お、お前、私に人を私に食わせたのか!」

「ええ、そうですよ」

 幸村はにっこり微笑んだ。

「何てものを食わせたんだ!おぇぇ」

 黒田は、食べたものを口から吐き出した。

「あららら、勿体ない」

 幸村は、カートに掛けてあった塵取りとホウキで、黒田の吐いた汚物を片付ける。

「顔を上げて下さい」

 言われ、黒田が顔を上げたところに、黒田が吐き出したものの入った塵取りを、黒田の口に突っ込んだ。

「あばばばざばざばは!」

 黒田は、汚物まみれになりながら、気絶した。

「もう来ていただいてよろしいですよ」

 ドアが開き、渋谷が入って来た。

「どうでしたか?この茶番劇?」

「最高でした。まさか俺の顔のケーキで騙すと聞いたときは、ここまで上手くいくとは思いませんでしたが」

 幸村は生首ケーキにフォークを突き立て、すくった。

「うん。美味しい」

 幸村は恍惚な表情を浮かべた。


終わり

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あなたが口にしたものは 浅貴るお @ruo

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