第2話

 男の話だと、恋人が悪質な借金の取り立てを苦に、自殺してしまったそうな。

「そう言えばまだ、名乗っていませんでしたね。私は、幸村千景と言います」

「俺は、渋谷啓介です」

 幸村は豚汁を一口啜った。

「冷めないうちにどうぞ」

「それではいただきます」

 鰹の出汁が効いた、豚肉、豆腐、人参、ゴボウ、大根、蒟蒻と具沢山な豚汁だった。

「おいしい」

「ありがとうございます」

「久しぶりに温かい食べ物を食べた気がします」

「それは、良かった。渋谷さん」

 幸村は真面目な顔になった。

「復讐したいですか?」

「えっ」

 渋谷は目を白黒させた。

「どう言う意味ですか?」 

「文字通りです」

「復讐。……出来るんですか?」

「はい。私はもうひとつお店をやっていましてね。ハピネスと言う表向きは完全招待制のレストランです」

「表向きは?」

「その実は、復讐を請け負う復讐レストランです」

「復讐レストラン」

「はい。そうです。渋谷さん、いかがです?復讐しませんか?」


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