豪雨

「やめてください。もう、無理です。」

「なんでよ、あの1回で終わりかよ。どう?たまってないの?確認だけ、させてよ」

 西島が霧嶋さんに言いよっていた。出てくのが遅いなとは思っていたが、こうなってくると西島のキモさがよくわかる。

 部屋はダンボールなのが倒れて散らかっていた。その中で二人は言い合っていた。

「なんだよ隅田くんか、こっちは大丈夫だから、表行ってて。」

「あの、混んできて手が回らなくなりそうなので、霧嶋さん表に出してもらってもいいですか?それと、セクハラで訴えられちゃいますよ?防犯カメラありますし。」

 西島は眉間にシワを寄せて、俺を睨んできた。そして、舌打ちをして霧嶋さんを突き飛ばした。霧嶋さんが転びそうなところをチャッチして、部屋の掃除をした。

「はぁ、最近のやつは使えねぇな」使えないのはお前の方だろ。どうだ、融通の聞かないフリーターは、正論言って言い返せないのか?いつか、痛い目に合えばいいさ。

 俺は、部屋の方すげを終え、店の方に戻った。霧嶋さんは掃除をしていた。掃除をしながら俺の方に来て、小声で

「ありがと」と言った。霧嶋さんは今までこう言ったことは、よくある事だったのだろうか。昨日風呂場で見たアザは、そいう時のものなのか、確信はないけれど、可能性は大いにある。

 霧嶋さんは、まだ入って二日目だから、付き添いで俺が身の回りの、説明や手順を教えていた。気に入った子は、店長がいつも教えるのだが、霧嶋さんに何故か教えていない。気になってはいるが、霧嶋さんと居れるなら何でも良かった。

 午後二時

「じゃ、今日は終わりだね。おつかれ」霧嶋さんの上がりの時間だ、ここからが本当に憂鬱だ。霧嶋さんがいるから頑張れるのに、どうしたものか…

「お疲れ様です。お先に失礼します」

「霧ちゃん、送っていくならちょっと出るね」

 外を見ると酷い雨だった。朝のこともあって不安はあるけれど、濡れて風邪をひく方が心配だ。

 店長が、半ば強引に霧嶋さんを連れているように見えたのを、俺もっと築けばよがた…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る