物音

月曜日 午前8時

「アラーム…スマホはどこだ」

「スマホ、ここだよ!おはよう寛也」霧嶋さんは先に起きていた。バイトのシフトは同じ時間からなのに早起きで羨ましい。

「おはよう玲。早起きだね」

「お腹すいちゃって、起きちゃった。寛也の分もあるよ」

 ダイニングキッチン

「まぁ、予想はしてたよ」

「ん?何が。」朝だから、ヘルシーはヘルシーなのだか、二人にしては多い気がする。

「いや何でもないよ。玲はこれから?」

「起きて食べたけど、朝ごはんはこれからだよ」朝ご飯の前に食べる食事はなんというんだろうか?間食でいいんだよな?

「うん…!そっか。食べよう。作ってくれてありがとういただきます。」

「いただきます!」今日は、洋食テイストだ。タマゴサラダにベーコンエッグ、フレンチトースト、コーンフレーク、コンソメスープにコーンポタージュ、ウインナー、スクランブルエッグ、などなど。どこかの朝食バイキングのような品揃え。霧嶋さんが張り切って沢山作ったのか、元々そうなのかは多分、後者の方だと思う。毎度思うが、細身なのに本当によく食べる。

「ごちそうさま。寛也足りた大丈夫?」

 俺は歯を磨いて準備をしていた。さすがに朝から食べるのには多すぎて途中て、やめた。

「大丈夫だよ、おなかいっぱい。美味しかった」霧嶋さんの胃袋には毎回驚かされる。

「そろそろ家でないとね。私も歯磨きする」

コンビニ

「おはようございます」二人同時出勤。少し照れ臭いが、周りはなんとも思わないだろう。

「おはよう、隅田くんと…霧嶋さん…」山本さんの顔が少し歪んだのは、新人が好きじゃないならだと思う。でも、霧嶋さんは気にしないだろう、いつも前向きで人当たりがいい。

 スタッフルームに入ると、店長の西島がいた。

「おはよう隅田くん、霧ちゃん」なんだこいつ、気安く霧ちゃんなんて言うな。気持ち悪い。いい歳こいたおっさんが恥ずかしくないのか、人のこと言えないけど!

「おはようございます。」霧嶋さんは本当に優しい、どんなこと言われても優しく返す。

 俺は、何も無かったようにいつも通りの振る舞いをして、仕事をする。

「山本さん、おはようございます」山本さんとも、被ることが多い。俺も山本さんもシフトの量が同じぐらいというのもあるが、基本同じだ。

「隅田くんおはよう。なんだか嬉しそうじゃない。何かいい事あった?」霧嶋さんと同棲始めましたとは言えない。山本さんのことだ、いい方向に話が進む気はしないし、進まないと思う。

「いえなんでもないです。ただ、土日休みが珍しかったので、充実出来ました。」

「あら、そう?てっきり彼女でも出来たのかと思っちゃったじゃない。うふふ」なんだろ、霧嶋さんの『うふふ』は可愛いと思うが山本さんの『うふふ』に拒絶反応が出たのは、霧嶋さんを見すぎたからなのかもしれない。

(ガシャーン、ドタドタ)

「あれ、何か落ちたみたいですね。ちょっと見てきます」大きな物音がしたのは、スタッフルームからだった。部屋には店長と霧嶋さんがいた気がする。胸騒ぎがする。

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