引越し蕎麦
部屋には、大量のダンボール、既に置かれた家具などがあった。テーブルにはまた、赤い封筒の手紙があった。
『愛しの玲ちゃんと隅田尋也様へ
新しいお家はどうですか?その場しのぎで家具や家電を置いてはいるけれど、その他のものは二人で買ってね、それと隅田さんのお仕事の件パンフレットや求人情報など参考に送るから待っててね。ママはいつでも二人の味方よ。』
霧嶋さんのお母さん優しい人だな。家電その場しのぎって言ってたけど、全部最新式なのはどうしてなのかな。
「尋也!お部屋冒険しよ。」美人はち3日で飽きると言うが、霧嶋はいつ見ても可愛いし。色んな表情をするから飽きもしない。
午後2時
「片付けしてたりしたら、もうこんな時間にやっちやったね。ご飯でも食べようか」さっきまで、お腹をさすってぐったりしていた霧嶋さんが、目をキラキラさせて俺の方を見た。
「引越しそば!だね。私作る!」
霧嶋さんはキッチンに行って、鍋に水を入れていた。
「今日は暑いから冷たいのがいいです。」もう梅雨も終わって暑いだけの季節が来た。正直言うと俺は夏が嫌いだ。外に出るわけでもなく、ただ家でゲームしてバイトして寝るそれの繰り返しだからだ。
「最近また、暑くなったよね。日焼けしないように、家から対策グッズ持ってきた。尋也も使って」今年の夏は嫌いじゃないかもしれない。だって霧嶋さんがいるから。
「お蕎麦できたよ。」
見たことの無いそばの量を俺は見た。二人分の量もは思えない。俺もよく食べる方だがこれは、きつい。
「ちょっと多いんじゃない?」
「そうかな、いつもより減らしたんだけど、多かったか。」いつもより減らした…霧嶋さんお腹すいてるみたいだし、余ったら夜にでも。
案の定、蕎麦は空っぽになった。俺は二割ぐらい食べて苦しくなりやめたが、残りの八割を霧嶋さんが食べた。それでも足りないのか、塩おにぎりを握っていた。
「玲って、かなり細身なのによく食べるよね。」
「うーん、なんかお腹すいちゃう。でも、腹八分目にはしてるよ?」おう、まかの回答だった、俺ははち切れそうなのに、霧嶋さんは八分目も行っていないのか。恐るべし大食の罪…
午後6時
俺たち二人は、ご近所の挨拶も片付けも終えゆっくりくつろいでいた。
「そういえば、明日は学校だよね。バイトもだし」
「そうだね、バイトは一緒に行くとして。学校の間、別々だね。」この土日で、色々なことがあり過ぎた。霧嶋さんに会って、家に行って、引越しもした。今まで、平穏すぎるぐらい、何も無い日常に刺激があれば、と思っていたけど。あり過ぎた、むしろ強すぎた。明日からは、何も無かったようにバイトに行って生活するけれど、今起きているこの生活は、どんどん変わっていく。それが今は楽しい。
夜九時
「今日は、ゆっくりしよ。お風呂入ってくるよ」
「え?一緒に入らないの?」一緒に入る?いいのか?でも、霧嶋さんの体は見たことあるしいいのか。そいう問題なのか?でも、付き合ってるし。
「えっ?いいの?」
「いいよ、ずっと一緒に入りたかった。行こ」なんかドキドキする。
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