怒り

「ねぇ、玲。俺以外の男を誘った時みたいに、俺にもヤッテよ」

 霧嶋さんは驚いた顔をしていた。俺に押し倒されていた霧嶋さんは俺の上へのしかかった。騎乗位のように俺に股がり、霧嶋さんは服を脱ぎ出した。霧嶋さんの体を外から来る月明かりだけが照らした。そして、慣れた手つきで俺の服も脱がした。二人は、キスをして、体の曲線を描くように体を撫で。霧嶋さんが腰を動かした。霧嶋さんの髪が、柔らかな肌や体が、大きく揺れる胸が、堪らず出るその声が、その全てが愛おしく、切ない。この全てが、他の男達は見てきたのだろうと思うと、腹が立つ。その内怒りが込み上げて、俺自身も腰を動かした。二人の間に会話はなく、霧嶋さんのあいぎ声と、俺の息遣いだけが部屋にあった。どんな、体位をしても。どんな、プレイをしても、気が晴れない。それはきっと、霧嶋さんへの怒りでもあり、他の男への嫉妬心でもあった。家に帰ったら、監禁して、どこにも行かせたくないとさえ思った。

「あぁ!!玲を見るのは俺だけでいいのに、俺の手の届く所だけでいいのに。それが出来ない…」

 そう俺は声を荒らげた。心の内に止めておくことの出来ない感情と言葉が、堪らず出る。霧嶋さんは、『ごめんなさい』と言うばかりで、何度も絶頂していた。

「玲…気持ちいい?」

「うん。だからもう辞めて。また、ダメになる」霧嶋さんが俺を突き放そうとするが、そんな力などもう残っていなかった。少しの抵抗しかできなき霧嶋さんを見て可愛いと思った。

「ごめん、それは出来ない。」

 俺達は何回ヤッタかも分からず、俺が落ち着いた頃には、夜の12時になっていた。霧嶋さんはぐったりとして、疲れて寝てしまっていた。タオルや水を持ってことうと思い、部屋のドアを開けると、床に手紙が置いてあった…

 

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