別れ
「やっと見つけた。おい玲!俺の電話出ろよ。どうせお前のことだから、ヤリたくてたまんねぇんだろ。位置情報でバレてんだよ」やっぱり霧嶋さんの知り合いだったか。俺は会計を済ませて、定員損に『すみません』と少し謝って霧嶋さんの方で向かった。
「工くん、ここお店の中だから。大きな声とか、多人数で入るなら早く席に着いてよ」
霧嶋さんは、不良達に強気で他のお客様に気を使っていた。俺は何が出来るだろうかと、あたふたしていた。
「なんだよ、もしかしてお前また、よく分かんねぇおっさんの所行ってんのか?ふざけんなよ!!お前がどこ行こうがバレてんだよ、おい、早くしゃぶれよ」
不良が霧嶋さんの頭をわしずかみして、襲っていた。
「ねぇ、やめてよ。そいうんじゃないから。てか、そいうのやめたの。見つけたから、あの人…」
霧嶋さんが『あの人』と言った瞬間不良の手は緩み霧嶋さんを離した。不良は気が抜けたように、立ち尽くしていたが椅子に座り霧嶋さんに問いかけた。
「見つけたって、二年前の奴か?」
「そうだよ、工くんと付き会ってた時も言ってたけど、その人を見つけたら別れるって言ったし、見つけた後は関わらないでって言ったよね。だから、もう関わらないで。何も頼まないなら、帰って」付き合ってた…?いやでも、過去形で話してる。そして、二人が言うあの人って誰だ?霧嶋さんの過去に少し触れられたが、また気になることが増えた。おじさんの家に『また』行っているというのは実家のことか?それとも…。考えたくはないが、可能性も否定できない。
「霧嶋さん…帰ろう、会計しといたから。」そういい、俺は霧嶋さんの手を掴み引っ張った。霧嶋さんは嬉しそうに、頷いた。
「ちょっと待てよ、おっさん」おっさん…俺まだ22だぞ?めげるな俺…
「なんですか?」
「おっさん、隅田さんっすか?」なんで、俺の名前、知ってるんだ。
「そ、そうですけど。」
「玲、本当に見つかったんだな」霧嶋さんは、本当に俺を探してたんだ…二年前からずっと。
それから、霧嶋さんと二人ファミレスを出て家まで歩いた。
隅田尋也家
「やっと着いた。」ファミレスから家までそう、遠くはないが日頃から動かない俺からするとやたら疲れる。
「ごめんなさい。私のせいで…あっ、お金!お金返します!」そう言って霧嶋さんは制服のポケットからビニール袋を取り出した。その中には、アラフォートが沢山入っていた。その中から一箱取り出して。中を開けようとしていた。
「お金はいらないよ、それにご飯食べちゃったからお菓子も大丈夫だよ」可愛いな、お菓子でお金返すって。
でも、その中はお菓子なんかではなかった…
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