恩人

リビング件寝室にて

「ごめん、白湯しかなかった。」なんで、ココアとか無いんだろう。明日から買おうかな。

「ありがとうございます。」

 そう言いながら、コップを両手で持ち俯く霧嶋さん。どんな時だって、絵になる霧嶋さん、『どうして君は、こんなにも美しいんだ』そんな、演劇のようなセルフも霧嶋さんにはたりない。霧嶋さんが悲しそうに、俯く姿に恋をしない男は、この世にはいないだろう…

 さらに、重い空気が数分たち、話を切り出そうと僕は話し出した。

「霧嶋さん、僕に会ったのが今日が初めてじゃないってど言うことなのかな。霧嶋さんに会ったとしたら、なんかこう…印象に残ってるはずかなって。」

「二年前です。私が16歳の時だったので。コンビニ裏で、ガラの悪いヤンキーに絡まれた時、助けてくれたのが隅田さんです。」

 二年前…夏、夕方。

「霧嶋、お前ビッチなんだって?俺達にもやらせろよ。」

「私にだって選ぶ権利あります。もう、帰らせてください。」

 男数名で、女性を囲み性的暴行を加えようとす行為を見た。店の評判が悪くなるかもしれないし、何より女性がトラウマになるかもしれない。僕はそう思った。

「あの、その子。今日シフト入ってて、もうすぐ遅刻になるんで、早く解放してもらっていいですか?」

「誰だてめぇ…」不良は目を見ながら睨みつけようとしたが、それよりも先に僕の身長が高いことに築いた。

「隅田です。」僕は、圧をかけようと不良の目の前まで来て、見下ろした。

「まじ、うぜぇ」そう言い不良はどこかに行ってしまった。

「ありがとうございます。すみません。」囲まれていた女性がそう言っていたが、僕自信怖くて、その女性を見ることなくコンビニに戻った。

 現在。

「覚えてませんか?」確かに覚えてる。でも、その時の女の子だっことは知らなかった。

「お、覚えてるけど、その時は不良達の印象が大きくて、霧嶋さんがいたかどうかまでは、覚えてない。ごめん。」

「無理もないです。二年前も前から知っていながら、ちゃんとお礼もしてないんですから。でも、その日以来よくあのコンビニに行くようになったんですが、時間が合わなくて隅田さんになかなか会えませんでした。だから、バイト募集を見て隅田さんに会えるようにシフトを入れました。」

「特に理由とかなかったり、話ずらかったら申し訳ないんだけど…どうして、僕を探すようにして、コンビニに通っていたの?」コンビニのバイト募集は、基本どこも毎日やっている。それなのに、二年もの間それに築かないなんてことはあるだろうか?

「お礼、もありますが。好きになったんです。あの日、私を助けてくれたから。後は自慢とかマウントとかじゃなくて、性的な目で見られるのが日常です、隅田さんはそんなことしない人だなって直感ですが思ったんです。それに…」

 そこで、霧嶋さんは話すのをやめた。『それに』に続く言葉は言いたくないのだろうと思い、僕は濁すように会話を続けた。

「意外だな、霧嶋さん…可愛いから、彼氏とかいるのかと。こんな僕なんか好きとか言ってくれるの。」異次元だ、美少女が僕を好き?過去の僕に抱きしめて褒めてやりたい。

「可愛い…ですか。嬉しいです。でも…『こんな僕なんか』なんて言わないでください。私だって、完璧じゃ無いんですから」霧嶋さんの過去は気になるが、霧嶋さんが話したいと思わないのなら、掘り下げるのは良くない気がする。

 そこからは、のんびりとした時間が流れていた。ただ、霧嶋さんのスマホからは通知が鳴り止まず、メッセージを返しているのか、霧嶋さんは忙しそうに見えた。


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