霧嶋さんを見たい
隅田 尋也の家にて
「急な雨ってドラマじゃないんだから」つい勢いで霧嶋さん家に呼んじゃったけど、犯罪じゃね?親御さんは?帰らせるべき?こんな土砂降りに?
「そうですね。でも、大丈夫でしたか、家に上がらせてもらってなんですけど。彼女さんとかいらっしゃるなら、私帰りますし。」むしろ大歓迎です!、なんて言えない童貞で捕まりたくない。どうしたものか…
不安げな僕の表情を見て、霧嶋さんも少し不安そうな顔をしていた。しかし…
「私18だから犯罪じゃないですよ。成人ですし。一緒にいても大丈夫です。親はいないも同然ですし、心配なさらなくても大丈夫です」
「えっ、霧嶋さん18なの?高校生って言ってたから未成年かと…」霧嶋さんが一緒にいても大丈夫って、僕と、いたいってことなのか、もしかして僕に気が…いや変なことは考えるな。
「私の学校四年生だから普通の学校と違うんですよね」確かに夜間って言ってたよな、高校って言っても色々あるんだな。
「あの…もし嫌でなければなんですけど、もう夜だしこれから雷雨になるみたいで、泊めさせて頂いても、いいですか?」霧嶋さんが、僕の家に…泊まる…?確かにもう、21時ぐらいか。女の子一人で外に出歩かせるのは危なすぎる。ましてや、霧嶋さんが外に。
「えーっと、霧嶋さんが良ければ。僕は全然大丈夫です。」これは、霧嶋さんの安全のためであって、消してやましい気持ちはない。
「本当ですか?!ありがとうございます。」霧嶋さんが今日、僕の部屋に泊まる。明日死んでもいいぐらい嬉しすぎる。いつもは、雨なんかクソ喰らえとか思ってたけど、今日は感謝しかない。
「雨で髪濡れてるし、風邪効かないようにお風呂入ってきて大丈夫だよ。そこのドア出て右側だから。」霧嶋さんが僕の風呂に…最高。ここまでは順調だ大丈夫。って待てよ、風呂場掃除してない、成人男性一人暮らし、部屋が綺麗なのはめずらいことだろ?待て待て、このまま霧嶋さんを風呂に入れさせて大丈夫なのか?確認したい。
ふと霧嶋さんの方を見た。この大雨のせいで、霧嶋さんのブラウスは少し透けていた。僕の目線を気にしたのか霧嶋さんは少し恥ずかしそうだった。
「あの…服借りてもいいですか?」服を、霧嶋さんが、僕の服を着る?こんな奇跡があっていいのか?確かに、霧嶋さん鞄も何も持ってい、代わりの服なんて持ってるわけないか。落ち着け、これはチャンスなのではないか?服を取りに行くついでに、風呂場を確認する。よし、ビジョンは完璧。
僕は、ビジョン通り服を取りに行くついでに風呂場を確認した。風呂場は、想像通り汚かった。使ったタオルは出しっぱなし、ドライアーも放り出されていた。
こんな所に、霧嶋さんを呼ぼうとしていたのか、いや普通霧嶋さんが来ることを想像するか?早く片付けて、霧嶋さんの所に戻らないと。
「霧嶋さん、ごめんね。服これでいいかな、ちょっと…いや、かなりデカいけど」
「ありがとうございます。全然大丈夫です。着れればどれも同じですよ。」受け取ってくれた。『汚ぇ』とか言われるかと思ったけど良かった。シワ伸ばしても伸びないってどんだけ放置してたんだろ。
シャワーが出る音と共に髪や体を洗う音がする。まるで、人魚が水浴びに来ているんだと錯覚するような、心地いい。
「家に誰かいるって言うのも悪くない」
僕は、大学に行くことを諦めた。面接が怖くて逃げ出したんだ、そこから親に顔を合わせるもの辛くなって、バイト代貯めて、一人暮らしを初めた。両親はそんな僕を築かって仕送りや金銭面の援助をを時よりしてくれる。『そろそろ、ちゃん仕事探さないと』と言いつつここまでズルズルと今に至る。
「はぁ、何やってんだか。もぅ霧嶋さん上がる頃かな」
風呂場からドアを開ける音が聞こえた、風呂場から「ふぅ。」と言う声を聞いて僕の心臓が痛いほどに鳴ったのがよく分かった。霧嶋さんを見たいと言う気持ちと、霧嶋さんに下心を向けないと言う気持ちが混ざって気持ち悪い。
そう思いながらも僕は風呂場の入口まで来てしまっていた。霧嶋さんが体を拭き終わったでおろう。その時、大きな雷と停電が起きた。
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