有名人はちゅらいでつ
第31話わたち、アイドルになりまつ
通り名であるマジカルハッカー氏でありハカセは自身の部屋で倒れているところを発見された、意識が戻らずに病院へ搬送されるも意識が一向に戻らなかった。
自発呼吸はおこなっているものの原因がハッキリとしなかったのだ。
ぷいぷい団参謀兼開発部長であるハカセを探しに魔法幼女が病室の窓から入って来るなり、ペチンペチンと可愛く頬を叩くと眠りについていたハカセが即座に目を覚まし起き上がった。
診察をしていた医者も『こいつはとんだロリペド野郎だぜッ!』と恐怖に
即日にハカセは病院を子持ちの女性看護師さんに叩き出されるとなぜこんなに病院関係者は冷たいんだろうと二階ハカセは首を傾げる事となる。
ハカセの秘密研究所である都心にあるバーの地下室ではデバイスのセキュリティ解除を行っていた。
眠っている間の顛末をパルルから詳細に聞いていたのだ。もちろん聞きながらもデバイスや高性能の自作したスパコンで情報の処理を行っている。
その情報の中にはAU国家主席が暗殺されたという噂も上がってきている。隠蔽された形跡があるがスーパーハッカーであるハカセには精査することなど朝飯前だ。
AUの政治中枢はまたも混乱に見舞われており、数年は軍事行動がとれないほどに軍事力が疲弊している。シャオリーも日本政府が確保しており、事情聴取という名の尋問が行われているはずだ。
ハカセは説明を聞き終わるとうんうんと考え始め、パソコンをネットに接続しヨウチューブのちゃんねるを表示させる。
そこに表示されたのは歌って踊るアイドルの映像が映し出されていた。
バックダンサーが何人も踊る中、可愛い声がコンサートを行っているホールに響き渡る、バンドが演奏しているドラムの重低音が胸に響き、フリフリの衣装はカラフルで三人組のアイドルがとても華やかに彩られている。
ファンの人たちの声援がこれでもかと津波のように押し寄せるも、リーダーであろう人物が片目をパチリとウインクするだけでファンが撃墜される。
マイコも聞いたことのあるアイドルグループであった可愛い衣装に印象的なメロディ、つい口ずさんでしまいそうなキャッチーな歌詞もよくできている。
「お二人でアイドルをやってみませんか?」
その言葉がドヤ顔をしたハカセの口から出るとともに、マイコの鉄拳がおっさんの頬にめり込んだ。
ほわんほわんほわんほわわわーん
腫れた頬を抑えながらもどういう意図があってそのことを発言したのか懇切丁寧に説明をするハカセ。いい歳したおっさんが若い子、ましてや可愛い幼女を捕まえて『えへへ、アイドルにならない?』と声を掛ければ即事案になるであろう。
それほどにもドヤ顔がうざかったというわけではない、けっして。と、マイコは思う。
「ですから、AUとの準戦時体制ですが、さすがに魔法幼女のイメージがバリバリの武闘派なのはひまり様の印象が悪くなってしまうのを懸念致しまして。幸いマイコ様も魔法少女になられましたのでユニットを組んで短期的にライブを行ってはいかがかと……もちろん我々ぷいぷい団がサポートいたしますので」
うーにゅうーにゅと、とひまりは考えるもそう手ごたえは悪く無い、マイコはというとやってみたい気持ちはあるようだがとても恥ずかしいらしい。
あとひと押しで行けると踏んだハカセ企む。
「ではヨウチューブの生配信で歌ってみましょう。対面には人がいないので抵抗もない筈。私が
そういうなりハカセのサブパソコンでキャッキャウフフと選び始める二人。
その様子がすでにぷいぷい団内で情報共有されているとも知らずに。
ニチャリと笑うハカセはツブヤイターや常連の掲示板などに情報を拡散させる。
[魔法幼女ヨウチューブデビューッ!! 新たな魔法少女とともに歌のお試し生配信!! アイドルデビューするかも!? アーカイブには残らないから絶対に見るべし!!]
すでに魔法幼女を神聖視し始めている東京都民にはいっきに拡散され、ニュースにも緊急速報が流れ始める。どれだけ暇なのかと思われるが彼女の行動ひとつひとつが注目されているのだ。
日本が、世界が、その動向を観察している。
なぜ、歌を……? と各国の大統領や国家主席、軍関係者は会議を開き出す。
『やつは、世界平和にでも目覚めたのか?』『きっと電波に呪いでもかかっているに違いない……AUの主席も暗殺された』『次は我々アメリコの番ということかッ! ジャップの魔女めッ!!』『かゆうま』『オースティリアは何もわるいことしてませーん、こっち見ないでねプリティガール』『
荒れに荒れた。むしろこれがハカセの狙いでもある、情報を小出しにして揺さぶり各国のセキュリティを突破しスパイウェアを仕込んでいく。
軍内部の戦力情報、機密研究、政治家のスキャンダル、はたまた病院の通院履歴まで。
ドヤ顔して幼女に迫る、冴えないおっさんだが実はすごい奴なのであった。
情報が
作成しているメタバースは日本にいる企業達が力を入れている分野でもあった、ヨウチューブ配信者が使用するアニメ調の3Dキャラクターを作成しモーションキャプチャーで追従させキャラクターに魂を吹き込む。
声優や個人でバーチャルなヨウチューバ―として活動している者もいる。
企業で使用しているメタバースよりもより現実に近い仮想世界が構築されていきその内容は幻想的でリアルな魔法世界を再現している、下手をすればメタバースに革命が起き未来的な没入型VRゲームが完成しそうな勢いだ。
もちろん高度な処理はハカセの脳内で高速演算されていきひとりスパコン状態である。
後日、レンタル料を支払えば簡単に魔法世界のメタバースが使用できるサービスも開始する。ぷいぷい団の大きな収入源となったのはここだけの話だが。
さすがに精神そのものをダイブさせることはハカセも開発できていないので室内のスクリーンに魔法世界を投影する。視聴者である観客やコメントなどは可愛い幻想生物へと変換される。これなら緊張せずに配信作業を行えるという配慮だ。
観客たちはVRゴーグルやスマホをグリグリと動かすだけで周囲が観察できるように設定してある。配信のチャンネルの注意事項には行動用の専用アプリをダウンロードし組み込めばメタバース内の移動などの操作も可能だ。もちろん魔法幼女にはおさわり厳禁のセーフティは掛けてある。
無駄に高度な作業をタカタカと動き続けるハカセの指が行う。思念操作とのマルチタスク作業だ。
どうやら二人の選曲が終わったらしく音源を用意し始める。
室内に投影された映像に二人は驚くも説明と開演時間を教えてもらう。変身をすると発声練習を始めたり、ヨウチューブに公開されている振付などを練習を始める。
「こうでしゅか? むづかしいでしゅね……」
「むー、ひまりちゃんどっかからダウンロードしたでしょ? もうプロ並みだよぉ……」
あかしっくという名のズルを変身したパルルは行っており、キレッキレ踊りを披露する。
それはまるで妖精のような舞を表現し、神秘的だ。
神に奉納する演舞とも言えよう。
「ひまりちゃんすごいよぉ! でもなんだかキラキラしてきてるよ!?」
ひとまず変身したピピルの振付を重点的に練習を始める。だてに強化されていない身体のポテンシャルを十全に発揮する。
小一時間もすれば十分飯を食って行けるほどにまでなる。
「うーん、これは凄いですね。さすがは神の使徒様。マイコ様、いえピピル様も凄いですね」
全ての準備が整ったハカセは練習風景も撮影し後でドキュメンタリー風に編集する予定だ。
開演まであと数時間、楽し気に練習する二人とは比例して配信を待つもの達には変な緊張感が漂う。
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