第24話おっと、手が滑りましゅた?
[本日AUの新たな主席が間もなく発表されます、政治家の間では謎の不審死が多発しており主席候補内での争いが原因ではないかという不穏な空気が漂っており……]
[あー、これ暗殺じゃないの? あ、これオフレコでね? え、生放送? まあいっか、なんだか小妲己とかいう噂が流れているらしいじゃん? 誘われるように自殺していくって話が流れてるんだけ――――――放送禁止用語が多発した為しばらくお待ちく……]
[ただいま、新主席の登場です。なお日本に対する
[緊急放送です、ただいま日本の領海に向けてミサイルが数発AU本土より発射が確認されており対象地域の避難を開始しております……]
[発射されたミサイルは日本海に着水し、
現在本土上空、風は強く吹きすさび、日本が眼下に小さく映っている。
先程ハカセからミサイルが来るかもしれないとのことで高高度に待機状態を続けている。
実際に感じるほど寒くないがハカセにプレゼントされた対防弾防刃仕様のピンク色もこもこコートを羽織っている。
実際にミサイルの発射は確認されたが日本海を狙っていたらしく待機を解除しても大丈夫とのこと。しかしまたお願いをする可能性があるので申し訳ありませんとハカセから謝罪をうけた。
むんむんと難しい顔をしながらパルルはAU本土を眺める。
「これはビビーッとしたら怒られるでしゅかね? ん? ご勘弁を? 難しい言葉でつね――えっと見逃して下さいと言う意味なんでつね。わかりましゅた」
状況が状況なのでハカセとの通信を繋いでいる。ハカセは冷や汗をかきながらAU崩壊の危機を回避する。
本当の気持ちではぶっ放してもらいたいが、さすがに世界悪になるとパルルの穏やかな生活に影響が出そうになるのでなんとか説得した次第だ。
自身の住んでいる地域、それも友達や仲間が住んでいる所に撃ちでもしたらAUの最期であろう。
「ハカセしゃん次はないと警告してくだしゃい――――わたちの我慢の尻尾は長くないと」
それなのにパルルはちっこい指をAUのミサイルを発射した軍事基地へと向けている。指先に金色の光が収束し眩いばかりの閃光が煌めく。
ピチュンと可愛いと音と共に軍事基地の中心地に小指程の細さのビームが着弾する。
命中した地面がボコボコと膨れ上がり赤熱する、マグマのように粘性を伴った土くれは膨張するのを、我慢して我慢して我慢して我慢して、大地の血管が限界を迎え――
――――噴火した。
その噴火の様子は遥か遠くのアメリコ大陸でも観測できるほどの噴煙が巻き上がり爆心地である軍事基地は周囲数十キロはマグマの海に沈んだ、噴煙はAUの一部の国に広がると灰の雨を降らせた。周辺にすむ住人たちは世界の終焉を嘆き叫び、ミサイルを撃ち示威行為を指示した王主席は顔を青ざめさせる。
新任挨拶のつもりで示威行為である花火をちょっと上げたつもりであったのだ、それが盛大に自国で大花火、いや大噴火が起こってしまった。
それはもうAUのメンツをドロッドロのグッチャグチャにされてしまい王氏の頭の血管は破裂寸前であった。
公開演説はすぐさま後悔演説、いや、あれが世界の脅威だと自身の行為を正当化し、いずれ宣戦布告を行う予定だと宣言する。
すぐに何発も攻撃されてはたまらないので『いずれ』を付けたのは英断かもしれない。
その光景を把握、視認していたハカセあんぐりと口を開けて苦笑いをしている、この方はやっちゃだめと言われ盛大な
スッキリしたのかにっこりと満面の笑みを浮かべこう言った。
「一発は誤射かもしれない、という名言を聞いたことがあるでつ。こういうことでしゅよね?」
『ええ、間違いではありませんとも』
内心スッキリしているハカセも賛同する。これで次はないと警告しなくても大丈夫だが一応しておくかと、パルルの命令に忠実に従う。
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演説が終わりすぐさま状況は把握する事にした
それでもなお冷静でいられるのは妖艶紫衣の羽衣の効果で演説上に居る民衆や政治家、軍人を洗脳掌握を行っているからである。
普段通りの行動をとらせたまま主席の命令通りに動く人形と化している。いちいち口頭で命令を行わなければいけないのが面倒なのがネックである。直接的な宝貝の使用者ではないため命令の効きが悪いのであろう。
次々に上がる被害報告に頭が段々と痛くなってくる、AU、アジアユニオンは十数国からなる連合国家であり自らの国に決定権はあるものの合議制であり意のままに操ることはできなかった。
シャオリーの力を手に入れることができた時は世界の王になれると心から感激したものだ。
連合の主席になることができてこれから各国の政治家をジワジワと洗脳掌握を行えば良いとタカを括ってた時にコレだ。
やはり最大の脅威は日本に存在している魔法幼女だ、一発でも魔女の一撃を受ければあっという間に我が国は滅ぶ。まざまざと魔法幼女の脅威を見せつけられ自信を粉砕されてしまった。
世界征服ができると気分が高揚し、景気づけのミサイルを撃ってみようなどと欲をかいてしまったのだ。
ドガン、と執務室のデスクに拳を何度も叩きつける。食いしばった唇からわずかに血が流れ、鉄臭い味がする。頭をかかえ蹲っているとシャオリーが部屋に入って来る。
「パパ…………」
怒っているのが目に見えて分かっているのだろう恐る恐る声を掛けてくる。気を取り直してにこやかにシャオリーに返事をする。
「……なんだいシャオリー? 今日本をどうするか悩んでいるんだ。ちょっとパパを一人に――してくれないかな?」
語気をやや強め八つ当たりをしてしまっていた。シャオリーが居なければ私は唯のしがない政治家でしかないはずなのに。
シャオリーはビクリと背を振るわせるも、とことこと私の元へくるとこちらを上目遣いで伺ってくる。
「あ、あのね。わたしが日本とやらに言って、妖艶紫衣で支配してこようかなと考えてるの……? どう、かな? 範囲はまだ広くはなっていないけど慣れれば段々と広く支配できるようになっていってるの――――どうかなパパ?」
シャオリーを海外になんて行かせたら私の現在の立場は…………いや、差し迫った脅威を排除する方が先か? 主席に就任することができた今主要国である我が国に障害は少ない。
時間がかかってもいいから支配させた方が――そうかッ! 魔法幼女を支配することができれば私が世界を握ったも同然ではないかッ!
「フフフフッ、ハハハハッ、ハーハッハッハッハッ! 素晴らしい! 素晴らしいぞッ! 内政掌握のシャオリーに、外交威圧の魔法幼女、そして王たる私ッ! 完ぺきではないかッ! シャオリー、人数が多いと日本政府に気づかれる。ひとり秘書を同行させる――やってくれるな?」
「!! もちろんよッ! パパッ! 日本をパパにプレゼントしてあげるわッ!」
父親の期待に添えることができるかもしれないと思うとシャオリーは体の内から熱いものが込み上げて来る頬は紅潮し興奮が収まらない。
「んっ、それでいつ行けばいいのパパ?」
「まあまて、日本の事と魔法幼女の情報を仕入れて対策を練ってからだ。やるからには徹底的に、だ。万が一にもしくじるわけにはいかないだろう? 可愛いシャオリー」
邪悪な笑みを浮かべながら世界征服の夢が近づくことに王は下半身が猛ってしまう。
舌なめずりしながら秘書を呼び出す、綿密に計画を練ることと、この高ぶりを秘書にぶつけるために。
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