閑話 ゲームスタートだ!
真っ白な部屋から魔方陣の様な物で転移すると、其処は神殿か宮殿の様な広間だった。
「おお! よくぞ、来て下さいました召喚者様方。私はこの国の宮廷魔術師を務めている者でございます」
今、俺達の前には黒いローブを着た老人が自己紹介をしている。
周りには兵士達も居るようだ。
「やれやれ、俺達は神に選ばれた者達だと言うのに何て扱いだ」
そう愚痴るのは、この選ばれたクラスメイト達の中でリーダーのこの俺、星空和樹だ。
短髪の黒髪で、活発で明るいイメージを持ち、初対面の人にも好印象を与える人柄から高校二年生で生徒会長を務めていた完璧な男だ。
「あー、あー、言葉はわかるか? 俺達はオリジンの創造神様により使命を与えられた«召喚されし者達»だ。俺の名前は
「もー、直ぐに和樹君はリーダーシップを取るんだから!! あ、私は
この俺に文句を言ってきた女子は、三山結月。
金髪に褐色の肌、何処かチャラチャラしているが顔は間違いなく美人な女子。
何処が聖女何だか。
「うっす、自分は
短く自己紹介した男子は、阿賀小次郎。
坊主な黒髪で剣道部副部長の、ガチガチに堅物で有名な男だな。
まぁ、勇者の俺を引き立てる役者だがな。
「わ、私は
目立った特徴が無い、三つ編み黒髪の眼鏡っ娘ぐらいか?
まぁモブだ。
名前は天童光香だったな。
「僕は
俺の嫌いな僕っ子なガキみたいな男だ。
黒髪が目元まで伸びてて、表情も変わらないからよくわからん。
名前は如月潤。
「わては
出身は関西の方じゃ無いのに、エセ関西弁を話す茶髪野郎。
確か何かの格闘大会で優勝したらしく天狗になっているそうだ。職が格闘王でも、話し方のせいで胡散臭くて俺には合わん。
名前は菅藤琉斗だった筈だ。
「あたちは
自称、アイドルだったか? 痛い女子だ。
ピンクの髪がドリルみたいに両サイドに有る。
意味がわからん。
名前は確か、丸藤光里だ。
「ぶぐふふふ、ひかりたんかわゆす。あ、拙者は
はい、来た。コイツは本当に嫌いなタイプだ。職も嫌いだな。
確か、自称アイドルのひかりのファンだか何だかだ。
名前は、知らん。
何故、この選ばれし者達の中にこんなのが居るんだ?
創造神様のお考えはまだ理解できん。
「ぼ、僕は
うん、可愛い。
コイツはまひるって名前だが、歴とした男だ。
ただし、男の娘というやつだ。
なのに、このメンバーの中で一番可愛いんだ!
俺はノーマルだ! その気は無い! はずだ!
名前は、小鳥真昼だ。
名前も可愛いだろ。
「……ちっ。あたいは
最後のメンバー、コイツは学校一の不良…嫌、出来損ないだ。
スケバンだったか?
絶滅危惧種のヤンキー女だ。
職もピッタリだな。
名前は新井小豆、コマメと呼ぶとキレる。
小豆に詰め寄られ、宮廷魔術師の老人が怯えている。
「おい、小豆。ご老人が怯えている、やめろ」
「あぁん?! さっそく命令ですか?! 勇者様ぁ?!」
俺と小豆が睨み合うと、老人や兵士達が慌て出した。
「お、お待ちくだされ! 大丈夫でございます! 皆様も、召喚されたばかりでお疲れでございましょう。ささっ、こちらへどうぞ」
老人や兵士達に案内され、1人1つの部屋を与えられた。
部屋の内装はかなり豪華だ。
地球でいうと、中世? ぐらいの貴族の部屋ってイメージだな。
まぁまぁの扱いじゃないか。
くっくっくっ。
何たって創造神様に選ばれし勇者様だからな。
真昼以外、余計な者達が居るが。
さて、外も暗いし今日は寝るか。
使命を達成する為、明日から頑張るとしよう。
俺の望みを叶える為にな!
ふははははっ!
◆◇◆
――――そして、翌朝。
俺達は今、王城の広間に待機している。
何やら、この国のお偉いさんから歓迎と説明があるらしい。
メンバーも全員揃っているようだ、このまま待つか。
しかし、このメンバー……癖が強いな。
暫く待つと、広間の奥から王様と王妃と絶世の美姫が現れた。
俺は絶世の美姫に色めき立つが、王はどうも好きになれんな。
王であろう爺は、茶髪で偉そうな服を着ている。
王妃は、年は俺より上だがまだ若い。三十代頃か?
薄い金髪を綺麗に纏めてその上に宝石の冠を載せている。
恐らく、王妃の証しか何かなのだろう。
色彩豊かなドレスがまた映えて綺麗な美女だ。
姫は、THE姫って感じだな。
金髪に純白のドレス。
ただ、その美貌は絶世の美女だな。
惜しいのはその絶世の美女よりメンバーの男の娘な、マヒルの方が可愛いんだよな。
「オホンッ! まずは、自己紹介といこうかの。私はこの聖王国の王をしておるベル・フォン・ガリンと申す。
隣の王妃は妻のベル・フォン・カリンだ。もう1人は、私達の一人娘のベル・フォン・リサだ。
この聖王国の姫にして、希少な預言者の職に付いておる」
王達の自己紹介が終わり、俺達も順番に名乗る。
まぁ、尊敬も何も無いが一応は頭を下げてやろう。
「ふむ、中々に個性的な面々の御様子。リーダーは勇者のカズキ君で良いかな?」
ちっ。選ばれし者の俺を君づけかよ。
ここは我慢してやるか。
「はい、そうです」
俺が返答すると、メンバーの何人かが文句を言っているが知った事か。
勇者がリーダーだと決まってるだろ?
ゲームでも、話しでも、映画でもお決まりだ。
モブは黙ってろ。
でも、マヒルはどんどん意見を言っていいぞ!
「ホッホッホッ、まぁこれからメンバーとして纏まってゆくであろう。して、カズキ君。オリジン様から召喚されたとの事じゃが、使命を聞いても良いかな?
我らが望んでいた、召喚されし者達か確証が欲しくての」
笑顔だが、目は笑っていないな。この爺。
創造神様に選ばれた俺達を疑うとはいい度胸だ。
いつか殺してやるよ。
「はっ。オリジン様よりの使命をお伝えさせて頂きます。
1.聖王国が全ての人間の国を統一出来る様に協力する事。
2.魔物を駆逐し、聖王国の繁栄を助ける事。
3.人間の敵で有る、亜人や魔族達を滅ぼし絶滅させるか奴隷として消費させる事。以上にございます」
俺の説明がよっぽど嬉しかったのか、王や王妃は大喜びしている。
それもそうだろう。
創造神様の御説明通りなら、この聖王国は唯一の神であるオリジン様を祀るオリジン教の国なのだから。
異端の神を祀る他の国を支配し、救うのは当たり前であり、正義の行いだ。
何故なら、俺達はオリジン様に直接会っているのだから。他国で信仰されている邪神の様な神モドキでは無い、本物の神に会ったのだ。
信じない筈がない。
「うむっ! 我らの祈りをオリジン様は叶えて下さったのだな。
有り難や、有り難や。では、召喚されし者達よ。
そなたらが使命を果たせるよう、最大限の援助をさせていただく。さっそくだが、騎士団長に装備を支給させよう。
後は、騎士団長の元で修練を受けるが良い」
えっらそうに。
決めた、コイツは俺が必ず殺す。
そうだ、年は上だが美人な王妃と絶世の美女な姫は俺が貰ってやろう。
飽きるまで抱いてやる。
そんな野望を考えながらメンバー達と移動を開始していると、姫のリサが呼び止める。
「お待ち下さい! 勇者様方! 今、オリジン様から御告げがございました! 今から3年後に、亜人から魔王が現れこの世界を滅びに導くだろうと!」
王の広間に動揺が広がる。
はぁっ?! 魔王だぁ!?
おかしい、オリジン様からはそんな事は聞いていない。
俺達が召喚された後に、何か有ったのか?
分からんが、どうせ魔族も亜人も奴隷にするか滅ぼすんだ。
関係無かろう。
しかし、王は酷く取り乱していた。
「な?! 何じゃと!? リサ、それは真か? いや、神の声を聞く預言者の言葉に偽りが有るわけも無いか。召喚されし者達よ! 3年じゃ、3年で魔王も倒せるように強くなってくれ!
世界の運命はそなたらに掛かっておる!」
はいはい、魔王滅ぼしたら、次はお前を殺してやるからもう黙ってろ。
今度こそ俺達は王の広間から出ていった。
さて、面白くなって来た。
ゲームみたいな世界だとオリジン様から聞いた時には、ワクワクした。
さぁ、思いっきり楽しもう。
俺達が正義だ。
ステータス画面
名前 星空
年齢 17
職業 勇者
種族 人間
レベル 1
HP 3000/3000
FP 2000/2000
攻撃力 2500+10000
防御力 2000+10000
知力 1900+10000
速力 3000+10000
スキル 勇者
魔法 元素魔法Lv1
戦技 必中斬りLv1
状態異常 無し
加護 創造神の加護
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