第19話
「分かったらそこの“鳥籠”に入れて早く出て行ってくれる?」
ずっと気になっていた部屋の隅にあった鳥籠は、“魂を入れる為”の鳥籠だったのかと二人は納得する。
「あの、それで期限とかは…いつまでとか…」
ミヅキの質問に、神は、
「うーん、適当。…ま…、頃合いになったら呼ぶよ」
ー「頃合い…ですか?」ー
ー「うん、頃合い。」ー
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「その“頃合い”が今日で、神様には嘘がバレて追放され、天使には閻魔様とサタン様の魂が君達の中にいるとバレて、復讐の為に、天使は君達の、」
ー「命を狙っている」ー
「それが理由だ…」
些々波の説明が終わった。
「その…“復讐”…って…」
ここでにサタンの魂が入っている凪の兄・牲架が口を開いた。
「現世に三人で行ったのに何故、二人だけ生きているのか…」
白髪赤メッシュのナツキがそう言う。
「そんなのサタン様と閻魔様の…」
ー「自業自得だよ…」ー
と、ボソッと呟いた時、視線がその人物に一斉に集まった。
牲架達側から見てテーブルの奥に三人並んで、真ん中に座っている人物。
悪魔の白髪おかっぱ、性格暗めのハンガンに。
右と左側には、
「ハンガンさん…、それ本気で言ってるんですか…?」
水色のお下げ髪のニールと、
「そ、そうよ!もうちょっと空気読みなよ」
黒髪ポニーテールのレイがいて、少し動揺しているのが伺えた。
…………………。
レイの言葉を最後に少し沈黙になる。だが、この少しの沈黙は非常に長く感じた。空気も一気に凍りついた感じた。
…………………。
そして、
「うん…ゴメン…」
ハンガンは素直に謝るのであった。
言えば分かる悪魔だ。
***
そんな凍りついた空気も少しは溶けただろう…。
「ま、兎にも角にも、命が狙われてる以上はこの者達を護るしかないのぉ…」
と、ここで些々波の姉・
これまた、和華日奈もベッドの上に座っていた。
ていうか今数えたら、大の大人が五人もベッドの上に居た。しかも、“血だらけのベッド”の上に、だ。
しかし、血が付いた布団の上のではさすがに…(兄さんの血なら平気だけど)と思った凪は、使ってない毛布があったのでそれを仕方なく上から敷いて座っている。
だが…、
(何とも狭い。早く除けてくれ。というか帰ってくれ。)
とも、凪は思った。
「じゃが、困ったのぉ… 」
“何が困ったのか”、鬼の暁が口を開いた。
「護ってやるのはいいんじゃが、護る為にはある程度すぐ駆け付けられる“距離”にいなくてはならない…」
凪達の後ろから白々しい言葉と何となく痛い視線が伝わってくる。さらに、
「暁様、この現世にも“ホテル”や“ネットカフェ”があるみたいなんですが、すぐ帰れると思ってたが故…只今、持ち合わせがありません」
些々波がわざわざ、凪達に向かって話す。
なんという白々しい会話だと凪は思った。あえて、目線を合わせないように些々波の視線より下を横目に凪は睨んだ。
ここで、
ー「マナ、お兄ちゃんの部屋がいい!」ー
と、牲架の右手を、
「イテテテテッ…、痛いよ…」
両手で取り、軽く引っ張ってくる男の子。
イメージするならパパ・ママに駄々をこねる感じ。
その子は悪魔のマナだ。
マナはずっとギルバートの右横にいた。
「ほら、マナ。ここはサタン様と私専用のお部屋です。君達は別のお部屋へ」
牲架の隣にいた側近・ミヅキが眼鏡の中心(ブリッジ)を人差し指で上げながら、これまた、この家に棲み着く発言をした。
そこで、牲架が、
「あの〜…この部屋は僕の部屋なので…」
サラッと、
ー「住むなら、僕以外の部屋でお願いします」ー
許可をだした。
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