第18話

     ー「うーん…、何がいい、か…。」ー



神様は悩んだ。


この二人にどんな”罰“が相応しいのかと。


悩む神は、河南とノアの後ろにいる暁とミヅキに、


「後ろの二人、何かいい罰はないの?」


聞く。だが。


どんな罰にするかは神の中ではすでに決まっていた。


つまり、悩んだふりをしているだけ。


「う〜ん……。あ。」


暁が何か思い付いたのか声をあげた。


「それでは神様っ!」


今はそういう場じゃないのに、ひらめいた事が嬉しいのかったのか暁は急にテンションを上げ、得意気に人差し指をあげる。そして、


「こういうの…わぁぁぁ…ッて……!!!」


急に叫んだかと思えば、


「ちょっ…サタンの側近!儂の足を踏むな!!」


少し怒るようにミヅキに言った。


どうやら、ミヅキが暁の左足を踏んだみたいだ。それも、


「あぁ…わざとでした、すみません。」 


わざと。


落ち着いた声で返すサタンの側近、ミヅキ。


「ですが…、我がサタン様に貴方様の理由わけの分からない妙案な罰を神様が下されたら、私は許しませんよ」


「じゃ、何かある?」


神様がミヅキに質問する。


「では神様…。サタン様ではなく、是非、私に罰を…」


「うん、却下」


「何故ですか?」


ミヅキは喰い付き、


「お前ウザい、もう黙れ。」


「承知しました」


あっけなく引き下がった。


「早いな…」

暁が半目はんめでミヅキを見ながら言った。



      ー「じゃあ、こうしよう」ー



神は、自分の中ではすでに決まっていた河南とノアの罰を如何にも、”今決まりました“と言わんばかりの口調で言う。


「ルールを守れない二人にはもう自由はいらない。だから、自由を奪おう。」


神のこの言葉を普通に捉えれば、”自由を奪う“=自由に動けないように“拘束・監禁“すると言っているように、四人にはそう聞こえた。


それも、何日間か我慢すれば解放してくれるだろう。

死人が出ているのに不謹慎だと思ったが、


暁とミヅキは少なくともそう思った。


「と…どれどれ…」


神が急に立ち上がる。


「二人共、立ってくれる?」


「あ…はい…」

そう言われた河南とノアは立ち上がった。


そして神は、二人のすぐ目の前まで来ては二人の頭の上にそれぞれ手を置いた。


その時、二人は反射的に目を瞑った。



       ー「これが君達の罰だ」ー



神がそう言った途端、二人は白い光に包まれ、次第に、


“白い発光物体”…に変わってしまった。


**


「はい、これが閻魔様で、これがサタン様。」


神はそう言いながら、暁とミヅキに二つの“白い発光物体”をそれぞれ渡した。


「え…これは何ですか…?二人は一体、どこへ…?」


ミヅキが口を開く。


「それが二人の“魂”だよ。文字通り“自由を奪った”んだ」


「か、体は!?」


そこで暁も口を開く。


「体って…。君は二人の体が欲しいの?変態だな。」


冗談めいた神の言葉にミヅキは、


「全人類の敵だな、貴様は」


さげすんだ顔で言った。だが、


「お前にはわれたくないわッ!ボケが!」


暁は否定する。

ここで否定しなきゃ…


「いや、本当に聞こえるから止めて!?作者!」


うん、止めようか。


*************


「から……、ふ…、二人はどこにいったんですか?」


危なく言いそうになる暁。


「内緒だよ、そんなの。でも、」


神は元の位置に座りながら答える。


「口は聞ける筈だし、チャンスも与える。こんなはいないね」


そこへミヅキが、

「そんな、チャンスとは…?」


ちゃんと乗っかる。


「はい、これ」


と、神から渡されたのは『写真』と誰かの名前らしきものが書かれた『紙』の2枚セット。


二人はこの2枚セットをじろじろ見る。が、


「これ…は?」


暁は質問した。


「その『写真』の人が見つかれば、それを新しい“器”にすればいい。だけどその写真の二人はどうやら双子で顔が全く同じ。眼鏡があるかないか。だから…」


「だから…」

「だから…」


暁とミヅキが声が合わさり、


「間違ったり騙そうとか思ったらもれなく“連帯責任”が待っているからそのつもりで」

 

「その…この方達はざっくり言うとどこに…」


ミヅキが恐る恐る聞く。


「現世」


と、神は一言。


「どうしてコイツ等なんじゃ?」


暁が写真を神にビラビラしながら言う。



          ー「内緒。」ー



















        





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