第17話

      ー全部…儂のせいじゃッ…!!ー


    ー儂が刺されればよかったんじゃッ!!ー



「そんな事…言ったってもうしょうがないよ…起きた事はもう変えられないよ…」


二人はロンの手を握ったまま嘆いた…。


う"ッ"ッ"…


「もう……、う"う…ッ"…、帰…ろ…?う"ッ"…、三…にん"…で…」


ノアが涙ながらに言った。


「あ"…あ"ぁ……、う"ッ"……、そ…ぉ…じゃ……、…の"……」


河南もだ。



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三人は帰る為に扉を開ける。


すると、待っていたのは…、


「迎えに来たぞ…」

鬼の暁と、


「サタン様…」

サタンの側近のミヅキと、


「……………」

何も言わずに三人をただ見ている、


天使の“ユーハン”だった。


みなの表情は暗く、空気は非常に重いものだった。



  ー「その子、重いでしょ?僕がおんぶしようか。」ー



そう口を開いたのは、天使のユーハンだ。


そして、“その子”というのは、天使長の“ロン”の事だった。


“ロン”は今、河南の背中に


みなの表情は暗いもの…、だったのだが、


「…ユ…ユー…ハン…さん…。どうして…そんな顔でいらっしゃるの…ですか…?」


ユーハンの顔は今、悲しい顔ではなく、



        ー笑顔…だったのだ。ー



涙で瞼を腫らしているノアがユーハンに、恐る恐る問うた。

すると、帰ってきた言葉は、



 ー「きっとこれは、この子の…、『運命』だった。」ー



       ー「たったそれだけだよ」ー 



笑顔で、『ただ運命だった』と答えたのだ。


どうして、その言葉だけで片付けられるのか。

きっと、ここに入る者達はそう思っただろう。


「さっ、閻魔様。“その子”を僕に。」


河南に近づいたユーハンは、を下ろし、そして、ロンをお姫様抱っこした。


「やっぱ少し重いねぇ、この子は。それに…」


ユーハンは、眠るように死んでいるロンの顔を見て、


フフッ


微笑み、


「死んでいても可愛い顔してる」


仲間が死んだというのに悲しみを見せないユーハン。

そして、


       ー「僕達、先帰るね」ー



と、皆んなに笑顔を見せ、帰っていくのであった。



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        ー「罰を与えようか」ー



神様はそう言った。


河南とノア、そして暁と側近のミヅキは今、神様達が住む『神町かみまち』、“神様”の部屋にいた。


それよりかは、“呼出された”が正しい。


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ここで少し説明をすると。

『神町』と言うのは、名前の通り『神様が住む町』。この町には色々な『神様』が居て(『〜〜神様』とか)、その『神様達』をまとめる神様が『神様』なのだ。


所謂、『町長』みたいな感じ。超偉いのだ。


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藍色のモジャモジャ髪の水干姿の神様。


神様との距離は、約2メートルくらいだろうか。


河南とノアは横並びに正座で座り、暁とミヅキはそれぞれの後ろで少し離れた所で立っている。


神様は少し高さがある場所であぐらをかいていて、


「じゃあ、君達の行いを言ってみてよ」


うつむいている二人に、言った。


いつもやる気がなさそうな顔をしているが、この時は珍しいもので真面目な顔をしている。


その質問に河南は顔をあげ、


「神様の許可無しに“現世”に行ったことです」


はっきりとそう答えた。


「で、挙げ句に?」


神様は追い込むように質問する。


「ロ…、ロンが殺され…て…しまい…ました…」


「そう。でも“天使長”が“刺された”のは君達のせいではない。」


「いや…!それはっ!儂のせい…」


「話は最後まで聞くものだよ?閻魔様…」


荒げた声を出す河南に対し、神様は落ち着いた口調で話した。


「君達三人が現世に行き、“天使長が刺される事”、それはもう決まっていた。だから“それは”君達のせいではない。…しかし現世には君達の存在が無く、助けももらえず、そして、」



        ー「天使長は死んだ」ー



「君達はルールを破ってしまったんだ。それに関しての…」



        ー「罰を与えよう」ー
























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